2023/07/26

Czech Open 2023 R5

会場に並ぶ本はチェコ語、もしくはドイツ語ばかりのように見えます。

チェコオープンは早くも折り返しとなる5Rを迎えました。相手のCommercon は私よりも2つ年上で、ヨーロッパのトーナメントで豊富な経験がありそうなプレーヤーです。黒番でしたが、序盤からかなり上手く指すことができたゲームでした。

Commercon, S (GER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
Czech Open 2023 (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. Qb3 Qe7!?

このゲームはClassical Slavの少し珍しいラインになりました。8... a5 9. O-O Nbd7 10. Na2 Be7 11. Qxb7 Rb8 12. Qa6 Ra8= は早々にドローになることが知られているため、これを避けて勝負します。

9. Nh4 Bg6 10. Nxg6 hxg6 11. h3 a5 12. Bd2?!


検討で彼はこの手を悔やんでいました。自然なピースの展開にも見えますが、逆にc3のナイトが動きづらくなります。12. O-O くらいで白は問題ないでしょう。

12... Nbd7 13. Be2 e5! 14. dxe5 Qxe5 15. Nb1? Nc5! 16. Qc2 Qe4!

試合序盤で大きな流れがきたと感じました。クイーンを消してしまえばb3のマスの負担も大きく、白は苦しい状況になるでしょう。

17. Qxe4+ Nfxe4 18. Bc3 Bxc3+


c3でのピース交換は悪くないのですが、もう少しタイミングを遅らせても良かったです。18... O-O-O! 19. Bxb4 (19. O-O Bxc3 20. Nxc3 Nxc3 21. bxc3 Rd2-+ 確かに相手のキャスリングを見てからc3を交換すれば、確実にルークが潜り込めました) 19... axb4-+ このポーンの形になった際、aファイルにルークが残り、a4をすぐ攻撃できるほうが良いと思っていましたが、b1のナイトが戻れないことを考えれば黒のアドバンテージは十分でした。

19. Nxc3 Nxc3 20. bxc3 O-O-O 21. Bc4 f6 22. Bf7 g5

私としてはポーンを全て黒マスに置いてビショップをかわしてしまうのが安全だと思いましたが、コンピュータは22... Rh6! としてg6を受けることを示します。確かに本譜のようにc2にビショップを組み替えてディフェンスされるより、a2-g8ダイアゴナルに縛っておいたほうが良かったかもしれません。

23. Bg6 Rh4 24. Bc2 Kc7 25. Ke2 Rc4 26. Ra3 Kb6 27. Rb1+ Ka6


このセットアップを見つけるのに時間がかかりました。黒はb7-b5を見せておき、白のピースの動きを封じておきます。

28. Rba1 Rh4! 29. R1a2 Rd6 30. Bf5 Rh8 31. c4 Rhd8 32. Kf3 Nd3?

しかし、ここは相手のキングがg4から上がってポーンを狙いにくるアイディアに動揺し、アドバンテージを手放すひどい手を指してしまいました。ポーンストラクチャーの差以外に、ナイトがビショップよりもはっきり働きやすいことが黒の大きなチャンスなので、これを交換してしまうのは誤りです。32... Rd1 33. Kg4 Rh8!-+ くらいで黒は十分なのですが、一度dファイルに重ねたルークを戻すのに抵抗があり、本譜を選んでしまいました。

33. Bxd3 Rxd3 34. Rxd3 Rxd3 35. Ke4 Rc3 36. Kd4 Rc1 37. c5


こうしてcポーンを押されてみると、黒のクイーンサイドのポーンマジョリティはあまり働かなくなります。c5のブロッケードを外してしまったことも、ナイトが跳びこんだ手が間違いであるポイントです。

37... Ka7 38. f4 Rd1+ 39. Ke4 gxf4 40. exf4 Rd5 41. Rc2 f5+ 42. Ke3 Rd1 43. Rc4 Ka6 44. g4!

最初、この手はポーンの形が乱れるのでミスなのではないかと思いましたが、進めてみると白のダブルfポーンはキングの隠れ蓑を作る良い働きをします。

44... Rh1 45. gxf5 Rxh3+ 46. Ke4 b5


最初は46... Rb3 から4段目でぶつけてポーンを落とすつもりでしたが、白ルークにg7を狙われた際、白のfポーンが予想以上に早いことに気づきます。作戦変更でパスポーンを作りにいきますが、孤立のcポーンだけでは戦力として心もとないでしょう。

47. cxb6 Kxb6 48. Rc1 Rg3 49. Ke5 Re3+ 50. Kd6 Rd3+ 51. Ke6 Rd4 52. Ke5

52. Rg1 Re4+ 53. Kd6 Rxf4 54. Ke5 Rxa4 55. Rxg7 Ra1= このようにポーンを取り合った場合も、ドローになりそうです。

52... c5 53. Rg1 Rd7 54. f6 gxf6+ 55. Kxf6 c4 56. Ke6 Rd2 57. f5 Kc5


黒もcポーンを伸ばすことができ、チャンスが生まれたかと思いましたが1手足りません。ここは57... Rf2 58. Kd5= で明確にドローなので、キングを上げて勝負にいきます。

58. Rf1 c3 59. f6 Kb4

59... c2 60. f7 Rd8 61. Rc1 Kb4 62. Rxc2 Kxa4= これは本譜と同じドローの形です。もう1手キングが上がるのが早ければ勝てたのですが...

60. f7 Rd8 61. f8=Q+ Rxf8 62. Rxf8 c2 63. Rc8 Kxa4 64. Rxc2


黒のチャンスは白ルークを1段目に縛らせておくことだけでしたが、Rf1-Rf8-Rc8と周る時間を与えてしまっては勝てません。

64... Kb3 65. Rc8 a4 66. Kd5 a3 67. Rb8+ Kc3 68. Ra8 Kb2 69. Kc4 a2 70. Rb8+ Kc2 71. Ra8 Kb2 72. Rb8+ Kc2 73. Ra8 Kb2 74. Rb8+ 1/2-1/2

最後は三回同一局面が成立し、ドローになりました。3Rに続く、タフな戦いでした。

7/21 15:00 Classical R1 Grot, B (CM, POL, 2089) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 0-1
7/22 15:00 Classical R2 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Krawczyk, F (CM, POL, 2053) 0-1
7/23 15:00 Classical R3 Mohota, N (IM, IND, 2163) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
7/24 15:00 Classical R4 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Reimer, P (GER, 2142) 1-0
7/25 15:00 Classical R5 Commercon, S (GER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
7/26 15:00 Classical R6 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Musial, T (CM, POL, 2176)
7/27 15:00 Classical R7
7/28 15:00 Classical R8
7/29 15:00 Classical R9

6Rは再びポーランドの若いプレーヤーとの対戦です。後半戦も粘り強く指していければと思います。

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