滞在しているホテルの近くに動物園も入っている大きな公園があり、その中に素敵なカフェレストランがあります。少し値は張りますが、この3日ほどは試合前にそこで昼食をとることにしています。2日前はなんとか閉じる体裁をとっていたカプレーゼのサンドイッチが、この日は完全に崩壊状態で届きました。
チェコオープンも後半戦に入ります。この日の相手は三度ポーランドの若者で、格上からもポイントを取っている嫌な相手でした。Semi-Tarrasch からIQPポジションになることを1つの予想とし、試合に臨みます。
IQPは持たせるほうが基本的に好きですが、相手の手順によっては持つ側も受け入れます。黒からのセンターポーンの交換が遅ければa2-a3を入れるつもりでしたが、ここではまだ必要ないと考え、ルークをセンターに置く手を優先します。
h7をケアしつつ、将来的にg7にビショップを組みたいのは理解できますが、すぐにキング前を狙われるリスクを背負います。10... Bf6 11. Be4 Nce7 という進行が一般的でしょう。
客観的には16. Qd2 Rc8 と進むのが良いのだろうと思いながらも、このセンターブレイクを仕掛ける誘惑に勝てませんでした。ベストではないものの、f7へのプレッシャーをどう受けるかは黒が悩むところで、実戦的な1手だと思います。
ここは21... Qd7 22. Bxe6 Qxd2 23. Bxd2 fxe6 24. Rxe6 Kf7 と進んだ場合、白は1ポーンアップでも分かれたクイーンサイドのポーンが弱く、有利なのか自信がありませんでした。
クイーンを取った後、黒キングの前も崩すチャンスを十分に残し、決着がつくのは時間の問題だと思いました。しかし、ここから事件が起こります。
ここは相手が時間ギリギリで嫌なトラップを仕掛けてきます。35. hxg6? Nf3+! 36. gxf3 Rxg6+ 37. Qxg6+ fxg6Analysis Diagram
このポーンエンディングになることに気づき、結果に自信が持てずに避けました。実際これはドローになります。38. Kg2 Kf7 39. Kg3 Ke6! 40. Kg4 Ke5 41. Kg5 b5 42. Kxg6 Kf4 43. Kf6 Kxf3 44. Ke5 Kxf2 45. Kd4 Ke2 46. Kc5 Kd3 47. Kxb5 Kxc3=
39. Qg5 Rxa3 40. f4? Rxc3! 41. f5 Rc6 42. fxg6 Rxg6= この形は典型的なフォートレスで、白はクイーンを持っていても突破口がなくドローになります。
相手のルークはaファイルをふらふらしていましたが、ここにきて4段目が絶妙の働きになります。時間が増えた直後にもかかわらず、この形からフォートレスに持ち込まれる可能性を考えなかった自分のうかつさを呪いました。
43. f5 Rxg4 44. fxg6 Rxg6 45. Qd8+ Kg7 46. Qd4+ Kg8 47. Qd5 a5= f7にポーンを残し、ルークがe6,g6を往復することでキングの侵入を許さないというのがルークvs.クイーンのフォートレスの基本形です。クイーンサイドにあるポーンはこの際あまり関係ありません。本譜はこれを避けてナイトを取らないことにしましたが、それでも黒は難しい形ではないでしょう。
後はルークがa5,c5を往復するだけです。
7/21 15:00 Classical R1 Grot, B (CM, POL, 2089) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 0-1
7/22 15:00 Classical R2 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Krawczyk, F (CM, POL, 2053) 0-1
7/23 15:00 Classical R3 Mohota, N (IM, IND, 2163) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
7/24 15:00 Classical R4 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Reimer, P (GER, 2142) 1-0
7/25 15:00 Classical R5 Commercon, S (GER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
7/26 15:00 Classical R6 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Musial, T (CM, POL, 2176) 1/2-1/2
7/27 15:00 Classical R7 Kearns, C (GER, 2184) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
7/28 15:00 Classical R8
7/29 15:00 Classical R9
7Rはまたドイツのプレーヤーです。これまでの対戦相手と違い、私同様に下位相手に苦しんでようやく上がってきたところのようですので、こここそ買っておきたいですね。残り3試合も頑張ります。 先日、他のボードゲームも置いてあることはお伝えしましたが、会場にはこうしたコーナーもあります。チャンギのような韓国のボードゲームを紹介するほか、あなたの名前をハングルで書きますというコーナーは面白かったです。韓国のチェスプレーヤーの家族が担当しているようでした。
チェコオープンも後半戦に入ります。この日の相手は三度ポーランドの若者で、格上からもポイントを取っている嫌な相手でした。Semi-Tarrasch からIQPポジションになることを1つの予想とし、試合に臨みます。
Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Musial, T (CM, POL, 2176)
Czech Open 2023 (6)
1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c5 5. e3 Nc6 6. cxd5 Nxd5 7. Bd3 cxd4 8. exd4 Be7 9. O-O O-O 10. Re1
IQPは持たせるほうが基本的に好きですが、相手の手順によっては持つ側も受け入れます。黒からのセンターポーンの交換が遅ければa2-a3を入れるつもりでしたが、ここではまだ必要ないと考え、ルークをセンターに置く手を優先します。 Czech Open 2023 (6)
10... g6?!
h7をケアしつつ、将来的にg7にビショップを組みたいのは理解できますが、すぐにキング前を狙われるリスクを背負います。10... Bf6 11. Be4 Nce7 という進行が一般的でしょう。
11. Bh6 Re8 12. a3 Nxc3 13. bxc3 Bf6 14. Be4
c3でのナイト交換でd4は強くなりましたが、代わりにc3が弱く残る可能性があります。e6-e5を警戒しつつ、b7を狙って相手の白マスビショップの展開を妨害します。14... Bd7 15. Rb1 b6 16. d5!?
客観的には16. Qd2 Rc8 と進むのが良いのだろうと思いながらも、このセンターブレイクを仕掛ける誘惑に勝てませんでした。ベストではないものの、f7へのプレッシャーをどう受けるかは黒が悩むところで、実戦的な1手だと思います。
16... exd5 17. Bxd5 Rxe1+ 18. Qxe1
e1でルークを交換してクイーンをずらすと、Qd1-Qb3の狙いは消えますが、代わりにb1のルークがd1に来られるようになります。18... Rc8 19. Rd1 Qe8 20. Qd2 Be6 21. Re1 Rd8?!
ここは21... Qd7 22. Bxe6 Qxd2 23. Bxd2 fxe6 24. Rxe6 Kf7 と進んだ場合、白は1ポーンアップでも分かれたクイーンサイドのポーンが弱く、有利なのか自信がありませんでした。
22. Ng5 Bxd5?
相手は残り10分を切り、クイーンを捨てる判断をしました。この変化は白が有利なのは明らかなので、私は別の変化を中心に読んでいました。22... Ne5! 23. Qf4 Qe7 24. Ne4 Ng4! 25. Bxe6 Nxh6 (25... Qxe6? 26. Qxg4!+-) 26. Qxf6 Qxf6 27. Nxf6+ Kg7 28. Nxh7 Kxh7 29. Bb3+/=23. Rxe8+ Rxe8 24. h4 Rd8 25. Qe3 Be5 26. Nf3 Bf6 27. Bg5 Bxg5 28. Nxg5
クイーンを取った後、黒キングの前も崩すチャンスを十分に残し、決着がつくのは時間の問題だと思いました。しかし、ここから事件が起こります。
28... Rd6 29. Qf4! Rd7 30. h5
30. c4! Be6 31. h5 Bf5 32. h6+- こうしてh6まで素早くポーンを刺し、g7の狙いを長く残していても勝勢だったでしょう。30... h6 31. Ne4 Bxe4 32. Qxe4 Rd6 33. Qf4 Re6 34. Qxh6 Ne5 35. Qf4
ここは相手が時間ギリギリで嫌なトラップを仕掛けてきます。35. hxg6? Nf3+! 36. gxf3 Rxg6+ 37. Qxg6+ fxg6
このポーンエンディングになることに気づき、結果に自信が持てずに避けました。実際これはドローになります。38. Kg2 Kf7 39. Kg3 Ke6! 40. Kg4 Ke5 41. Kg5 b5 42. Kxg6 Kf4 43. Kf6 Kxf3 44. Ke5 Kxf2 45. Kd4 Ke2 46. Kc5 Kd3 47. Kxb5 Kxc3=
35... gxh5 36. Qg5+ Ng6 37. Qxh5 Re1+ 38. Kh2 Ra1
35手目のトラップにも気づき、この後も問題はないだろうと思っていた矢先にaポーンが守れなくなりました。この辺りで真剣にフォートレス(駒得でも勝てない形に持ち込まれること)を考え始めます。f2-f4-f5とするプランはシンプルですが、クイーンサイドのポーンが消えると黒はナイトを捨ててもドローのチャンスが生まれそうです。39. Qf3
39. Qg5 Rxa3 40. f4? Rxc3! 41. f5 Rc6 42. fxg6 Rxg6= この形は典型的なフォートレスで、白はクイーンを持っていても突破口がなくドローになります。
39... Rxa3 40. Qf6 Ra2 41. f4 Ra5 42. g4?
f4-f5はいつでもできるため、先にgポーンを伸ばしておき、柔軟性を残そうと思ったのがこの試合最大の間違いでした。42. f5 Ne5 43. Kg3+- ここからキングの位置を改善し、g2-g4-g5を目指せば白勝ちです。42... Ra4!
相手のルークはaファイルをふらふらしていましたが、ここにきて4段目が絶妙の働きになります。時間が増えた直後にもかかわらず、この形からフォートレスに持ち込まれる可能性を考えなかった自分のうかつさを呪いました。
43. Qd8+
43. f5 Rxg4 44. fxg6 Rxg6 45. Qd8+ Kg7 46. Qd4+ Kg8 47. Qd5 a5= f7にポーンを残し、ルークがe6,g6を往復することでキングの侵入を許さないというのがルークvs.クイーンのフォートレスの基本形です。クイーンサイドにあるポーンはこの際あまり関係ありません。本譜はこれを避けてナイトを取らないことにしましたが、それでも黒は難しい形ではないでしょう。
43... Kg7 44. f5 Rxg4 45. f6+ Kh6 46. Qc7 Rf4 47. Qxf7 Kg5! 48. Qxa7 Rxf6
f7を落としても、クイーンサイドのcポーンはチャンスを作れません。以下はドローだと分かっていながら一応続けます。49. Kg3 Ne5 50. Qe7 Kf5 51. Kf2 Rc6 52. Qa3 Ke4 53. Ke2 Kd5 54. Qb3+ Kd6 55. Kd2 Nd7 56. Kc2 Rc5
後はルークがa5,c5を往復するだけです。
57. Qf7 Kc6 58. Qe6+ Kc7 59. Qe7 Ra5 60. Kb3 Rc5 61. Kb4 Ra5 62. Qh7 Rc5 63. Qh2+ Kc6 64. Qg2+ Kc7 65. Qa8 Ra5 66. Qxa5 bxa5+ 67. Kxa5 1/2-1/2
最後は進展のさせようがなく、クイーンを返してドローを決めました。前日以上に悔しいドローです。7/21 15:00 Classical R1 Grot, B (CM, POL, 2089) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 0-1
7/22 15:00 Classical R2 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Krawczyk, F (CM, POL, 2053) 0-1
7/23 15:00 Classical R3 Mohota, N (IM, IND, 2163) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
7/24 15:00 Classical R4 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Reimer, P (GER, 2142) 1-0
7/25 15:00 Classical R5 Commercon, S (GER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
7/26 15:00 Classical R6 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Musial, T (CM, POL, 2176) 1/2-1/2
7/27 15:00 Classical R7 Kearns, C (GER, 2184) - Kojima, S (IM, JPN, 2335)
7/28 15:00 Classical R8
7/29 15:00 Classical R9
7Rはまたドイツのプレーヤーです。これまでの対戦相手と違い、私同様に下位相手に苦しんでようやく上がってきたところのようですので、こここそ買っておきたいですね。残り3試合も頑張ります。 先日、他のボードゲームも置いてあることはお伝えしましたが、会場にはこうしたコーナーもあります。チャンギのような韓国のボードゲームを紹介するほか、あなたの名前をハングルで書きますというコーナーは面白かったです。韓国のチェスプレーヤーの家族が担当しているようでした。
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