ケチケメートに到着して一夜明けた2日目には、嫌な相手との再戦が待っています。イングランドのFM Lyell Mark は非常に鋭いアタッカーで、調子の良い時には2300に黒で何度も勝っています。昨年からの対戦成績は悪くなかったのですが、先月のCAISSA では、予期せぬLeningrad Dutch に敗れてしまいました。今回はLeningrad Dutch にどう対応するか、いくつかのラインを比較する中で、これと思った変化を試すことにします。
早々にダブルフィアンケットを組むこのセットアップは、ハンガリーのGM Robert Ruck の得意な形で、彼のゲームにはすべて目を通してきました。Boris Avrukh の本では、c2-c4 を遅らせて、0-0, b2-b3 と組む形がメインで扱われていますが、こちらもLeningrad の章の最後で少しだけ触れられています。(大抵のの場合、メインの変化に手順前後します。)
普段、English Opening を指す中で、d4-d5 の突き越しはあまり指さない私ですが、ここはcxd4 から将来的に厚いセンターポーンを持たれることを嫌いました。
Dutch では時々見るナイトの組換えですが、このタイミングではあまり良いようには思えません。もう少し自然な手で黒はゲームを進めるべきでしょう。12... a6 13. Rfe1 b5 14. e3+/= ならば、白には堅いアドバンテージがあると思いますが、黒も受け入れられるポジションです。一方、12... e5!? 13. dxe6 Nxe6 14. e3 Bc6 15. Nd5 がコンピュータの示したラインで、黒はd5 にアウトポストを作りますが、それをピースでカバーすることで十分に戦えそうです。
2月のFarkas 戦でも似たような形が現れました。白からf2-f4 を突くことで、e5 のマスを抑えると同時に黒からのf5-f4 を止めることができます。そうしてからe2-e4 とセンターを開けば、白のアドバンテージは疑いようがないでしょう。
クイーンサイドからの反撃に対しては、無視してセンターで戦っても良かったのですが、ここは敢えてピースを捌いても、白にはわかりやすいアドバンテージが残ると判断しました。
白はeファイルからゆっくり黒陣にプレッシャーをかけ、e6 のマスとe7 のバックワードポーンを狙います。
20. e5! こうしたポーンを突き越したストラクチャーは、文句なく白が優勢だとコンピュータは言いますが、私はfxe4 をされても全く困らなかったため、 センターのテンションはキープしたまま、ゆっくりとポジションを改善していくことにします。
ルークをそのようにクイーンサイドに回してくるのは予想外でした。さほど脅威にも見えないので、g7 でのメイトを狙い、ナイトをそちらに向かわせます。
これで完全に勝負は決まったと思いました。黒のクイーンとナイトは、キング近くで何もできません。加えてeファイルからのプレッシャーもあり、このポジションを粘るのは相当厳しいでしょう。
ここは色々な決め手があるだろうと思いつつ、わかりやすく駒得する変化を選びました。Nd4-Nc6 から、ビショップ取りとe7 のナイトフォークをダブルスレットにします。29. Qd4! Bxa2 30. Qxa7 Bb3 31. Rc7 Ra8 32. Ra1!+- この変化はなかなか気持ち悪いですね(笑)
どう指しても駒損は免れませんが、クイーン交換がオンリームーブだと読んでいました。29... Qg7 30. Qxg7+ Kxg7 31. Nc6 Bxa2 32. Nxb8 Rxb8 33. Rc7+-
宿敵Mark を内容の良いゲームで下し、今大会初白星です! 彼は初戦でMeszaros に粘り勝ちを収めたので、ここもポイントを取りたかったと思いますが、私も2400を目指すのであれば、そう簡単に2200台にポイントは落とせません。
10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259) 1-0
10/21 09:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/21 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346)
10/23 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)
3日目のVamos 戦と5日目のErdely 戦が入れ替わり、さらに今日は朝9時からMeszaros 戦となりました。最終戦を先に回せたので、26日の夜にはブダペストに帰ろうと思います。(もう少し変更を入れる可能性もあります。) それでは、午前中の試合に行ってきます!
Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Lyell, M (FM, ENG, 2259)
CAISSA 2013 October IM (2)
1. d4 f5 2. Nf3 Nf6 3. g3 g6 4. Bg2 Bg7 5. c4 O-O 6. b3!?
CAISSA 2013 October IM (2)
早々にダブルフィアンケットを組むこのセットアップは、ハンガリーのGM Robert Ruck の得意な形で、彼のゲームにはすべて目を通してきました。Boris Avrukh の本では、c2-c4 を遅らせて、0-0, b2-b3 と組む形がメインで扱われていますが、こちらもLeningrad の章の最後で少しだけ触れられています。(大抵のの場合、メインの変化に手順前後します。)
6... Na6!? 7. Bb2 c5 8. d5!?
普段、English Opening を指す中で、d4-d5 の突き越しはあまり指さない私ですが、ここはcxd4 から将来的に厚いセンターポーンを持たれることを嫌いました。
8... d6 9. O-O Bd7 10. Nc3 Rb8 11. Qc2 Nc7 12. Nd2 Ng4?!
Dutch では時々見るナイトの組換えですが、このタイミングではあまり良いようには思えません。もう少し自然な手で黒はゲームを進めるべきでしょう。12... a6 13. Rfe1 b5 14. e3+/= ならば、白には堅いアドバンテージがあると思いますが、黒も受け入れられるポジションです。一方、12... e5!? 13. dxe6 Nxe6 14. e3 Bc6 15. Nd5 がコンピュータの示したラインで、黒はd5 にアウトポストを作りますが、それをピースでカバーすることで十分に戦えそうです。
13. h3 Ne5 14. f4!
2月のFarkas 戦でも似たような形が現れました。白からf2-f4 を突くことで、e5 のマスを抑えると同時に黒からのf5-f4 を止めることができます。そうしてからe2-e4 とセンターを開けば、白のアドバンテージは疑いようがないでしょう。
14... Nf7 15. e4 b5 16. cxb5!?
クイーンサイドからの反撃に対しては、無視してセンターで戦っても良かったのですが、ここは敢えてピースを捌いても、白にはわかりやすいアドバンテージが残ると判断しました。
16... Nxb5 17. Nxb5 Bxb2 18. Qxb2 Bxb5 19. Rfe1+/=
白はeファイルからゆっくり黒陣にプレッシャーをかけ、e6 のマスとe7 のバックワードポーンを狙います。
19... Nh6 20. Kh2!?
20. e5! こうしたポーンを突き越したストラクチャーは、文句なく白が優勢だとコンピュータは言いますが、私はfxe4 をされても全く困らなかったため、 センターのテンションはキープしたまま、ゆっくりとポジションを改善していくことにします。
20... Qd7 21. Nf3 Rfc8 22. Ng5!+/-
ルークをそのようにクイーンサイドに回してくるのは予想外でした。さほど脅威にも見えないので、g7 でのメイトを狙い、ナイトをそちらに向かわせます。
22 ... Qe8 23. e5 Qf8 24. Rac1 Nf7 25. Ne6 Qh6 26. exd6 exd6 27. Qf6+-
これで完全に勝負は決まったと思いました。黒のクイーンとナイトは、キング近くで何もできません。加えてeファイルからのプレッシャーもあり、このポジションを粘るのは相当厳しいでしょう。
27... c4 28. bxc4 Bxc4 29. Nd4!?
ここは色々な決め手があるだろうと思いつつ、わかりやすく駒得する変化を選びました。Nd4-Nc6 から、ビショップ取りとe7 のナイトフォークをダブルスレットにします。29. Qd4! Bxa2 30. Qxa7 Bb3 31. Rc7 Ra8 32. Ra1!+- この変化はなかなか気持ち悪いですね(笑)
29... Rb2
どう指しても駒損は免れませんが、クイーン交換がオンリームーブだと読んでいました。29... Qg7 30. Qxg7+ Kxg7 31. Nc6 Bxa2 32. Nxb8 Rxb8 33. Rc7+-
30. Rxc4 1-0
宿敵Mark を内容の良いゲームで下し、今大会初白星です! 彼は初戦でMeszaros に粘り勝ちを収めたので、ここもポイントを取りたかったと思いますが、私も2400を目指すのであれば、そう簡単に2200台にポイントは落とせません。
10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259) 1-0
10/21 09:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/21 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346)
10/23 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)
3日目のVamos 戦と5日目のErdely 戦が入れ替わり、さらに今日は朝9時からMeszaros 戦となりました。最終戦を先に回せたので、26日の夜にはブダペストに帰ろうと思います。(もう少し変更を入れる可能性もあります。) それでは、午前中の試合に行ってきます!
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