2013/10/24

CAISSA 2013 October IM 6th round - Fight for A Victory -


ケチケメートの習慣となったパラチンタの食べ比べをしようと、この日も午前中から意気揚々とCAISSA PANZIO を出て、いつもの屋台街に向かいましたが、なぜかどこも開いていない! 嫌な予感がして他もチェックしてみると、スーパーも前日の市もやっていない... 多分そうだろうと思いつつ、戻ってから確認すると、この日はハンガリーの祝日とのことでした。10月23日は共和国宣言の日、社会主義制度に反対してハンガリー国民が立ち上がったのは、1956年のことでした。

仕方がないので、祝日でもやってるトルティーヤをいただき、会場に戻って試合の準備を進めます。この日は昨年から3連勝中のVamos が相手なので、黒でも勝ちにいくつもりで何を指すか考えます。

Vamos, V (HUN, 2178) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
CAISSA 2013 October IM (6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nc3 Nf6 5. Bf4 Qb6!?



これまで5... Nc6 しか指したことのなかった私ですが、この日は勝負にいきます。この変化はSlav Defence Move by Move で勧められていると、以前吉村先輩に教えてもらったことがあり、私も試合前夜からこのラインを見返していました。b2 を素早くアタックするこのアイディアに、白がどう対応するかでゲームはがらっと特色を変えます。

6. Qd2?!


一見自然に思えるこの手は、あまり良くないでしょう。おそらく白は、b2 のポーンを捨てるのがベストです。6. Rc1! Bd7!? 7. e3 Qxb2 8. Bd3 e6 9. Nge2 Bc6!? が私の最も警戒して準備していた変化でした。

6... Nc6 7. e3 Bf5 8. f3 e6 9. Bb5 Bb4!



実はこの変化、今大会のVamos - Hajnal でも同じ流れになりました。その試合ではHajnal は9... Be7 と指したようですが、d2 にいるクイーンを狙うようにビショップを出すほうが自然だと判断しました。

10. Nge2 O-O 11. Bd3!? Bg6!?


過去の実戦で見つけたのは、11... Bxc3!? (勝ちにいくときは、ビショップナイトの交換をする and ポーンストラクチャーを対称形から崩すというのは、昨年3月に来日したGM Chernin のレクチャーでありました。 ) 12. bxc3 Na5 13. O-O Qc6 としてc4 の白マスをコントロールして戦うプランです。しかし、c4 のマスは結局白マスビショップを交換することで弱められるので、本譜のように指しても問題ないでしょう。

12. Bxg6 hxg6 13. O-O Rac8 14. Qd3 Na5



ここまでは私の作戦通りです。センターのポーンストラクチャーは対称ですが、白マスビショップを交換した白のほうが、ポーンを置いているマスの色から見て有利だと判断できます。あとはクイーンサイドからゆっくりプレーシャーをかけていければ、黒は完全に望む展開になるでしょう。

15. Rab1!? a6 16. Rfc1 Be7!?


最初はNc3-Na4 に対して、a7 にクイーンを退くつもりでしたが、もう少し積極的に手を作りにいくならば、b4 をクイーンのために明け渡すアイディアが良いことを思いつきました。

17. Na4 Qb4 18. b3 Nd7



ここから何度もタイミングがありながら、18... Nc6!? とナイトを戻すアイディアを、なかなか実行に移せませんでした。白がb2-b3 と突く形はベストではないと分かっていましたが、どうすればそれを利用できるのか、すぐに思いつかなかったのは、こうしたSlav Exchange の経験がまだ私にも足りていないということだと思います。

19. Rc2 b5 20. Nac3 Nb6?!


20... Nc6! 21. Rbc1 Qa5 22. Nb1 Qb6 ならば、黒にはまだまだここから勝ちを狙える形です。

21. Rbc1 Rfd8?! 22. Nb1?!



ここは白の緩手に救われました。ナイトをc6 に戻さずにプランを見失った私は、実は割と危ないポジションでした。22. Bg3!+/- が白のベストムーブで、e1 にビショップを退くことで、行き場のないクイーンとa5 のナイトを狙って白がアドバンテージを握ります。

22... Rxc2 23. Qxc2 Rc8 24. Qd2 Nc6!?


多少危ないポジションは脱したものの、ルークを2組交換した後に、黒が勝ちに行くのは簡単ではありません。ビショップの働きがやや良いことを頼りに、勝てるプランを模索し続けます。

25. Qxb4 Nxb4 26. Rxc8+ Nxc8 27. Nbc3 Nd3 28. Kf1 Na7 29. a4 Bb4



色々と考えた末にこう指したのですが、チャンスの残る形は作れません。29... bxa4!? 30. bxa4 Nc6 31. Bc7 でもコンピュータはイコール評価ですが、ピースをなるべく盤上に残しておくほうが、誤魔化せるチャンスは多かったように思えます。

30. axb5 Nxb5 31. Nxb5 axb5 32. e4!=


これで完全にイコールになり、勝ちのチャンスを作るのは不可能だと分かりました。それでもVamos のオファーを蹴って、ドローが明らかになるまで続けます。

32... Kf8 33. exd5 exd5 34. Be3 Ke7 35. Nf4 Nxf4 36. Bxf4 Bc3 37. Be3 Ke6 38. Ke2 Kf5 39. Kd3 b4 40. h3 g5 41. g4+ Kg6 42. Ke2 f6 1/2-1/2



冷静に考えれば、b2-b3 によってc4 に入ることがができなくなった時点で、弱まったb4, a3 のマスに注目を集めるのは自然なことでした。Na5-Nc6 と戻す手が指せなかったのは反省点ですね。

10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259) 1-0
10/21 09:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/21 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 0-1
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346) 1/2-1/2
10/23 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)

さて、これで4つ目か3つ目かは分かりませんが、ノームを手にするには残り3連勝するほかなくなりました。今日はここまでリーダーのMinko に白を持ちます。5R でMeszaros に勝ち、3つ勝ち越しに単独躍り出たので、ここで止めなければ彼がノームを手にするのはほぼ間違いないでしょう。15歳の少年に簡単にノームを取られるのも悔しいので、ここはなんとか面白いゲームに出来ればと思います。

+3 Minko
+2 Kojima,
+1 Hajnal, Lyell
+-0 Vamos, Sarosi
-1 Farkas, Meszaros,
-2 Sean
-3 Erdely

Sean は昨日、ダブルヘッダーのMeszaros に負け... さすがに心配になる戦績です。


祝日でも関係なく開いているのが、いつものトルティーヤ屋台。営業時間は週に7日、7時から23時だそうです。店員は複数いるとは言え、毎日16時間営業とはすごいですね(笑)

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