前半戦最終日のこの日、遅く起きたにもかかわらず、お客さんの持ってきたペグソリティアに熱中して (ピンを1つ飛び越すと、飛び越されたピンが消えます。最後の1つが残るまで消せればクリアの、1人用ボードゲームです。) 、あまり試合の準備に時間を割きませんでした。結構反省しています。
昨年来日したことでも記憶に新しい、フランスのGM, Vachier-Lagrave が得意とするこの変化は、近年流行の兆しを見せつつあります。(個人的には、同じキングサイドを攻めるのでも、4. Nc3 よりもフレキシブルなのではないかと思います。) 3... Bf5 の経験が浅い私にとって、もう少しゲームをチェックしておけば良かったなぁと思いますが、ゲームが始まってからでは手遅れです!
Caro-Kann Defence Move by Move では、4... h5 5. c4 e6 6. Nc3 というラインを勧めていますが、この日は気分でもう1つのラインをチョイスしました。
5... Be4!? 6. f3 Bh7 7. e6 Qd6! という変化の解説はSutovsky のゲームで見ましたが、大事な試合でこのような見るからに危ない変化を指す気はなかったので、ややパッシヴでも固い形を目指します。
白は早々にクイーンを交換し、グッドビショップとd4 のコントロールで勝負しようとします。
11... Qa5?! 12. O-O-O Nc6 13. Qf4 Nge7 14. h5+/- クイーン交換を避けては、白のアドバンテージは確かなものであると、検討戦で互いの見解を一致させています。
指した直後、これはさほど効果的ではないと思い直しました。ナイトがb5 に跳ばれることはさほど脅威ではなく、黒はピースの展開を急ぐほうが自然でしょう。12... Nc6 13. Ncb5 Nxd4 14. Nxd4 Ne7=
私は白からh4-h5 と突かせるべきではないと考えていましたが、黒マスビショップがすでに消えている現状では、14... Nge7 15. h5 f6!= と指して、h6 のポーンを弱めてもさほど問題はないようです。
検討ではすぐにh5 を取り返すほうが良いのではないかと話し合いましたが、f5 を抑えに行く本譜のプランでも良さそうです。
試合後に並べ直してみて、なぜこんな美しくない手を指したのかと首をかしげたくなります。黒が1ポーンの代償を伴って指すためには、ビショップやa8 のルークを素早く戦場に出す必要があることは明らかです。18... d4! 19. Nd1 (19. Ne4?! Bc6! 20. Bf3 0-0-0 の後、白がどう指せばよいのかよくわからない、というのはWesterberg の意見です。) 19... Bc6 20. Rh3 Rd8! 21. Bg4 Nh6 22. Be2 (22. Rg3?! (少し違ったポジションでも話題に上がったアイディアですが、ここではうまく働きません。) 22... Nxg4 23. Rxg4 Kf8 24. Rg5 f6! 25. exf6 gxf6 26. Rc5 Bf3!=/+) 22... Nf5= 途中の分岐にあるRh3-Rg3 が良くない以上、白には優勢を得るアイディアがなく、ビショップとナイトを退き合ってドローに落ち着ける展開が見えてきます。
Bd7-Be8-Bxh5 という私の目論見は、このタクティクスによって崩壊します。b6 のマスを弱めていたのは私の盲点でした。
本譜の手も悪くはありませんが、ルークでbポーンを素直に狙えばシンプルに白勝勢です。24. Nxd7+! Ke7 25. Nc5 Rxd2 26. Kxd2 Rxh5 27. Rb3+-
ルークを突入させた場合、黒も多少のカウンターがあるのではないかというのが、検討での結論です。25. Rxd7 Rxd7 26. Rxd7 Rxh4 27. Rxb7 Rh1+ 28. Kd2 Rh2+ 29. Kc3 Ne3+/-
ルークが7段目に突入してきて、すぐにe6 のポーンを狙われる展開はなんとか避けなくてはいけません。
本譜もなかなか怪しい展開になりそうですが、黒はf4 を取ってgポーンが進める形になれば、なんとか対抗策が見えてきます。30. Rd7+ Kf8 31. Rb7 Rxf4
試合後に彼が悔やんだのがこの一手。f4 はどうしても守れないので、bポーンを取ってパスポーンレースにする展開が白の取るべき道だと私は考えていました。しかし、実際はそれも怪しく、正しくはe6 を取りにいって、センターにパスポーンを作るのが白の正しいプランでした! 31. Rd8+! Kf7 32. Rd7+ Kg8 (32... Kf8? 33. Nd4!+-) 33. Nd4 Rh1+ 34. Kd2 Ne4+ 35. Ke2 Rh2+ 36. Kf1 g5 37. Nxe6+/-
私の残り時間は2分。gポーンを進めるのとこの手と、どちらが正解なのか結論は出ず、直感でこの手を選びました。33... g5 34. a5 (34. Kb2 Rh4 35. Rd8+ Kf7 36. Rd7+ Kg6 37. a5 bxa5 38. bxa5 Nc5=) 34... bxa5 35. bxa5 Rf1+ 36. Kb2 Nc5 37. Rd8+ Kf7 38. Rc8 g4! (aポーンのブロックにいったナイトを簡単に捨てて良いのかは、時間の少ない中、正確に読み切るのは大変です。) 39. Nd8+ Ke8 40. Rxc5 g3 41. Rc7 Kxd8 42. Rg7 Rf4 43. Rxg3 Ra4= 実戦的には、本譜のようにナイトとルークディフェンスするプランで悪くないと思います。
34. Rxf4 Ne2+ 35. Kd2 Nxf4= こうなれば、あとはキングをクイーンサイドに寄せてドローでしょう。
それはないだろうという一手ですが、正確に指したところで白が勝つのは難しそうです。35. Rd7+ Ke8 36. Rxg7 Na2+! 37. Kd2 Nxb4 38. Re7+ Kf8 39. Rxe6 Nxc6 40. Rxc6 Rxa4 41. Rxb6 Ke7 42. Rf6 Rf4= このルークエンディングはまだ油断できませんが、ドローに持ち込むことが可能です。
大切なポーンをうっかり失ってしまった白は、黒のミスでしか勝ちはあり得ません。37... Kf8?? 38. Nxb4 Rxb4 39. a6 Ra4 40. a7 は当然白勝ちです。
黒もキングの逃げ位置はここしかなく、ドローは両者にとって仕方のない結果です。この日ポイントを拾えたのはラッキーでしたが、前日には勝ちにいくべきゲームをドローにしてしまいましたので、それと帳尻があっているのかもしれません。なんにせよ、これで1勝1敗3ドローのイーブンで前半5試合を終え、休憩日1日を挟んでいよいよ勝負の後半戦を迎えます。
10/05 14:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Seres, L (GM, HUN, 2449) 1/2-1/2
10/06 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sean, W (FM, INA, 2360) 1-0
10/07 16:00 Gordon, S (GM, ENG, 2526) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1-0
10/08 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) 1/2-1/2
10/09 16:00 Westerberg, J (FM, SWE, 2404) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/10 Free Day
10/11 16:00 Seres, L (GM, HUN, 2449) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/12 16:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/13 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Gordon, S (GM, ENG, 2526)
10/14 16:00 Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/15 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Westerberg, J (FM, SWE, 2404)
FS 2013 October GM
この日は3ボードともにドローで、Gordon が2つ勝ち越し、Sean が2つ負け越しという結果は変わっていません。それにしても、3人が5ドローというのは珍しいですね(笑) 後半は私は黒を多く持ちますので、前半戦以上に慎重に、それでいてチャンスがあれば思い切って指していこうと思います。後半戦も引き続き、応援よろしくお願いします!
Westerberg, J (FM, SWE, 2404) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
First Saturday 2013 October GM (5)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4!?
First Saturday 2013 October GM (5)
昨年来日したことでも記憶に新しい、フランスのGM, Vachier-Lagrave が得意とするこの変化は、近年流行の兆しを見せつつあります。(個人的には、同じキングサイドを攻めるのでも、4. Nc3 よりもフレキシブルなのではないかと思います。) 3... Bf5 の経験が浅い私にとって、もう少しゲームをチェックしておけば良かったなぁと思いますが、ゲームが始まってからでは手遅れです!
4... h6
Caro-Kann Defence Move by Move では、4... h5 5. c4 e6 6. Nc3 というラインを勧めていますが、この日は気分でもう1つのラインをチョイスしました。
5. g4 Bd7!?
5... Be4!? 6. f3 Bh7 7. e6 Qd6! という変化の解説はSutovsky のゲームで見ましたが、大事な試合でこのような見るからに危ない変化を指す気はなかったので、ややパッシヴでも固い形を目指します。
6. Nc3 c5 7. dxc5 e6 8. Be3 Qc7 9. Nf3 Bxc5 10. Bxc5 Qxc5 11. Qd4!?N
白は早々にクイーンを交換し、グッドビショップとd4 のコントロールで勝負しようとします。
11... Qxd4!
11... Qa5?! 12. O-O-O Nc6 13. Qf4 Nge7 14. h5+/- クイーン交換を避けては、白のアドバンテージは確かなものであると、検討戦で互いの見解を一致させています。
12. Nxd4 a6?!
指した直後、これはさほど効果的ではないと思い直しました。ナイトがb5 に跳ばれることはさほど脅威ではなく、黒はピースの展開を急ぐほうが自然でしょう。12... Nc6 13. Ncb5 Nxd4 14. Nxd4 Ne7=
13. f4 Nc6 14. O-O-O h5!?
私は白からh4-h5 と突かせるべきではないと考えていましたが、黒マスビショップがすでに消えている現状では、14... Nge7 15. h5 f6!= と指して、h6 のポーンを弱めてもさほど問題はないようです。
15. gxh5 Nxd4 16. Rxd4 Ne7!?
検討ではすぐにh5 を取り返すほうが良いのではないかと話し合いましたが、f5 を抑えに行く本譜のプランでも良さそうです。
17. Be2 Nf5 18. Rd2 Kf8?
試合後に並べ直してみて、なぜこんな美しくない手を指したのかと首をかしげたくなります。黒が1ポーンの代償を伴って指すためには、ビショップやa8 のルークを素早く戦場に出す必要があることは明らかです。18... d4! 19. Nd1 (19. Ne4?! Bc6! 20. Bf3 0-0-0 の後、白がどう指せばよいのかよくわからない、というのはWesterberg の意見です。) 19... Bc6 20. Rh3 Rd8! 21. Bg4 Nh6 22. Be2 (22. Rg3?! (少し違ったポジションでも話題に上がったアイディアですが、ここではうまく働きません。) 22... Nxg4 23. Rxg4 Kf8 24. Rg5 f6! 25. exf6 gxf6 26. Rc5 Bf3!=/+) 22... Nf5= 途中の分岐にあるRh3-Rg3 が良くない以上、白には優勢を得るアイディアがなく、ビショップとナイトを退き合ってドローに落ち着ける展開が見えてきます。
19. Rh3 f6 20. Bg4! Nh6 21. Nxd5!
Bd7-Be8-Bxh5 という私の目論見は、このタクティクスによって崩壊します。b6 のマスを弱めていたのは私の盲点でした。
21... Nxg4 22. Nb6 Rd8 23. Rg3! f5 24. Rgd3
本譜の手も悪くはありませんが、ルークでbポーンを素直に狙えばシンプルに白勝勢です。24. Nxd7+! Ke7 25. Nc5 Rxd2 26. Kxd2 Rxh5 27. Rb3+-
24... Rxh5 25. Nxd7+
ルークを突入させた場合、黒も多少のカウンターがあるのではないかというのが、検討での結論です。25. Rxd7 Rxd7 26. Rxd7 Rxh4 27. Rxb7 Rh1+ 28. Kd2 Rh2+ 29. Kc3 Ne3+/-
25... Ke7 26. Nc5 Rxd3 27. Rxd3 b6!
ルークが7段目に突入してきて、すぐにe6 のポーンを狙われる展開はなんとか避けなくてはいけません。
28. Nxa6 Rxh4 29. Nb8 Nf2 30. Nc6+
本譜もなかなか怪しい展開になりそうですが、黒はf4 を取ってgポーンが進める形になれば、なんとか対抗策が見えてきます。30. Rd7+ Kf8 31. Rb7 Rxf4
30... Ke8 31. Rd4?
試合後に彼が悔やんだのがこの一手。f4 はどうしても守れないので、bポーンを取ってパスポーンレースにする展開が白の取るべき道だと私は考えていました。しかし、実際はそれも怪しく、正しくはe6 を取りにいって、センターにパスポーンを作るのが白の正しいプランでした! 31. Rd8+! Kf7 32. Rd7+ Kg8 (32... Kf8? 33. Nd4!+-) 33. Nd4 Rh1+ 34. Kd2 Ne4+ 35. Ke2 Rh2+ 36. Kf1 g5 37. Nxe6+/-
31... Ne4 32. b4 Rxf4 33. a4 Nc3!?
私の残り時間は2分。gポーンを進めるのとこの手と、どちらが正解なのか結論は出ず、直感でこの手を選びました。33... g5 34. a5 (34. Kb2 Rh4 35. Rd8+ Kf7 36. Rd7+ Kg6 37. a5 bxa5 38. bxa5 Nc5=) 34... bxa5 35. bxa5 Rf1+ 36. Kb2 Nc5 37. Rd8+ Kf7 38. Rc8 g4! (aポーンのブロックにいったナイトを簡単に捨てて良いのかは、時間の少ない中、正確に読み切るのは大変です。) 39. Nd8+ Ke8 40. Rxc5 g3 41. Rc7 Kxd8 42. Rg7 Rf4 43. Rxg3 Ra4= 実戦的には、本譜のようにナイトとルークディフェンスするプランで悪くないと思います。
34. Rd8+
34. Rxf4 Ne2+ 35. Kd2 Nxf4= こうなれば、あとはキングをクイーンサイドに寄せてドローでしょう。
34... Kf7 35. a5?!
それはないだろうという一手ですが、正確に指したところで白が勝つのは難しそうです。35. Rd7+ Ke8 36. Rxg7 Na2+! 37. Kd2 Nxb4 38. Re7+ Kf8 39. Rxe6 Nxc6 40. Rxc6 Rxa4 41. Rxb6 Ke7 42. Rf6 Rf4= このルークエンディングはまだ油断できませんが、ドローに持ち込むことが可能です。
35... Na2+! 36. Kd2 Nxb4 37. Rd7+ Ke8
大切なポーンをうっかり失ってしまった白は、黒のミスでしか勝ちはあり得ません。37... Kf8?? 38. Nxb4 Rxb4 39. a6 Ra4 40. a7 は当然白勝ちです。
38. Rd8+ Kf7 39. Rd7+ Ke8 40. Rd8+ 1/2-1/2
黒もキングの逃げ位置はここしかなく、ドローは両者にとって仕方のない結果です。この日ポイントを拾えたのはラッキーでしたが、前日には勝ちにいくべきゲームをドローにしてしまいましたので、それと帳尻があっているのかもしれません。なんにせよ、これで1勝1敗3ドローのイーブンで前半5試合を終え、休憩日1日を挟んでいよいよ勝負の後半戦を迎えます。
10/05 14:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Seres, L (GM, HUN, 2449) 1/2-1/2
10/06 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sean, W (FM, INA, 2360) 1-0
10/07 16:00 Gordon, S (GM, ENG, 2526) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1-0
10/08 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) 1/2-1/2
10/09 16:00 Westerberg, J (FM, SWE, 2404) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/10 Free Day
10/11 16:00 Seres, L (GM, HUN, 2449) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/12 16:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/13 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Gordon, S (GM, ENG, 2526)
10/14 16:00 Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/15 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Westerberg, J (FM, SWE, 2404)
FS 2013 October GM
この日は3ボードともにドローで、Gordon が2つ勝ち越し、Sean が2つ負け越しという結果は変わっていません。それにしても、3人が5ドローというのは珍しいですね(笑) 後半は私は黒を多く持ちますので、前半戦以上に慎重に、それでいてチャンスがあれば思い切って指していこうと思います。後半戦も引き続き、応援よろしくお願いします!
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