CAISSA 4日目、5R を迎えるこの日、パラチンタの朝食を済ませてから、隣のスーパーの脇に何があるのか気になって奥まで進んでみると、非常に大きな倉庫のようなスペースで市が開かれているのを発見しました。野菜を売る屋台、肉屋、漬物屋といったケチケメート市民の食卓を支える食料品から、ハロウィン飾り、クリスマス飾りといった雑貨まで、様々なものが売られていました。
野菜に顔が描かれているこちらは、おそらくハロウィン飾りでしょう。先日、ブダペストに住む日本人のお宅にお邪魔した時には、ハンガリーではあまりハロウィンイベントは見かけないと耳にしましたが、それでもときどき、巨大なカボチャを使ったオブジェが飾られている店もあります。
こちらはクリスマスのリースでしょう。でもキャンドルがついているところを見ると、吊るすのではなく置いて使うんでしょうね。そろそろ各地で、クリスマス用品も出始めていると思います。
あとは肉屋にあった首を落としていない鶏は衝撃的な絵面でしたが、あまりにグロいので自主規制。こうしてケチケメートの新たな一面を軽く見て回ってから、試合の準備に戻ります。
強敵相手に勝ちを狙いに行くつもりだったこのラウンド、選んだのは2月の対戦と同じラインです。かつて少しだけ使っていた6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Nh4!? こちらのラインを復活させることも考えましたが、今月購入したSakaev のComplete Slav Vol.2 との相談の結果、こちらの流行のラインに決めました。
先に前回の試合から手を変えてきたのはHajnal でした。13... Rc8 とどちらもあり得る手です。
13... a6 に対して用意していたのがこの手です。dファイルではなくcファイルを早めに開いてルークを活用することを狙うため、この後のナイトのマヌーバリングとセットで働くことになります。
この変化の典型的なナイトの動きです。g6 のビショップは、今のところ働きはさほど良くないですが、ナイトをf4 まで運んでこれを取る狙いを見せておきつつ、h5 のポーンをアタックしておきます。
この辺りで私と彼のオープニングの研究が完全にかぶっていることを悟りました。Kramnik - Topalov では、21... Rc8 22. Rd1+/= となって白やや優勢と研究されたため、ルークをb8 に回してb7-b5 から手を作ろうとするこのアイディアを、ハンガリーのマスターたちが考案しました。事前のそのゲームをいくつかチェックしていましたが、Hajnal 程のプレーヤーであれば、そのゲームを解析済みであったか、一緒に研究していたとしてもおかしくありません。
23. g3!?N bxa4 24. Bxa4 f6 25. Nxg6+ Nxg6 26. f4+/= と進める変化はコンピュータの指摘で、このようにf4, g3 の黒マスをカバーできれば、ダブルビショップを得た白がやや優勢であることは間違いないでしょう。
試合後に確認したところ、この新手までHajnal の研究手順だったそうです。100試合を超えるハンガリーでの公式戦の中で、24手目までお互いの研究通りに進んだのは初めてでしょう! アイディアはe6 のポーンをルークの横利きで守っておくことにより、これまで試されてきたエクスチェンジサクリファイスを防ぐことです。24... Rb7 25. b3 f6 26. Rxd6!? Kxd6 27. Ba3+ Kc7 28. Nxe6+ これが私の指したかった変化で、白はダブルビショップとピースのコーディネーションにより、エクスチェンジの代償を伴ってプレーすることができます。
色々と考えた末に、同じようなエクスチェンジサクリファイスが成立すると思ってこの手を実行してみました。確かに成立はしているのですが、白がアドバンテージを求めるならば、もう少し駒は盤上に残さなければいけないでしょう。26. Be3 Rb7 27. Nxg6+ Nxg6 28. g3! (この手は試合中、私たちが見落としていたアイディアです。) 28... Rc7 29. f4 Rc2+ Hajnal とこのポジションを検討しましたが、おそらくダブルビショップによるわずかなアドバンテージが白には残るでしょう。
やっぱりエクスチェンジを返しますよね。28... Rb7 29. Nxe6+ Kc8 30. Bf8 Bf7 31. Nc5 ならば、上記の変化に手順前後するので、これが私の狙いでした。
前日のErdely とのゲームとは異なり、この同色ビショップエンディングはどうやってもドローでしょう。ここでHajnal からのオファーを受け、ゲームを終了させました。
10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259) 1-0
10/21 09:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/21 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 0-1
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346) 1/2-1/2
10/23 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)
今日のVamos 戦で3つ勝ち越しに入れるかどうかは、今大会を最終結果に大きく影響しそうです。去年から3連勝中の相手ですが、彼のSlav Exchange を退けるのは少し骨が折れます。(9月は相手のひどいブランダーであっさり勝ちましたが) どうしても白星がほしいならば、1... Nf6 を指すのも1つの手ですが、これからExchange を指す相手にSlav が指せないならば、ずっとSlav を使い続けることはできないので、1... d5 で勝負することになるでしょう。多分!
この日は全試合がドロー。Farkas - Sean は2ピース+ルーク vs クイーン+2ポーンという謎のマテリアルでした。Sean は毎試合、めちゃめちゃなサクリファイスをしすぎです。彼がもっと安定して大会で結果を出すためには、もう少し堅いプレーができる必要があるでしょう。
Sarosi - Minko はNimzo-Inadian で、かなり黒にチャンスがあると思いましたが、年の功で粘ったSarosi がドローに持ち込みました。やはりこの辺りのベテランマスターは一筋縄ではいきません。ここまでこなした試合数がバラバラなため、勝ち越し数でプレーヤーを分けておきます。
+2 Kojima, Minko
+1 Hajnal, Lyell
+-0 Vamos, Sarosi
-1 Sean, Farkas, Meszaros,
-2
-3 Erdely
明日の結果次第で、また私とMinko のノーム争いが白熱しそうです。3つ勝ち越しになってからが本番でしょう。
野菜に顔が描かれているこちらは、おそらくハロウィン飾りでしょう。先日、ブダペストに住む日本人のお宅にお邪魔した時には、ハンガリーではあまりハロウィンイベントは見かけないと耳にしましたが、それでもときどき、巨大なカボチャを使ったオブジェが飾られている店もあります。
こちらはクリスマスのリースでしょう。でもキャンドルがついているところを見ると、吊るすのではなく置いて使うんでしょうね。そろそろ各地で、クリスマス用品も出始めていると思います。
あとは肉屋にあった首を落としていない鶏は衝撃的な絵面でしたが、あまりにグロいので自主規制。こうしてケチケメートの新たな一面を軽く見て回ってから、試合の準備に戻ります。
Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN, 2346)
CAISSA 2013 October IM (5)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5
CAISSA 2013 October IM (5)
強敵相手に勝ちを狙いに行くつもりだったこのラウンド、選んだのは2月の対戦と同じラインです。かつて少しだけ使っていた6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Nh4!? こちらのラインを復活させることも考えましたが、今月購入したSakaev のComplete Slav Vol.2 との相談の結果、こちらの流行のラインに決めました。
6... e6 7. f3 c5 8. e4 Bg6 9. Be3 cxd4 10. Qxd4 Qxd4 11. Bxd4 Nfd7 12. Nxd7 Nxd7 13. Bxc4 a6!?
先に前回の試合から手を変えてきたのはHajnal でした。13... Rc8 とどちらもあり得る手です。
14. Rc1!?
13... a6 に対して用意していたのがこの手です。dファイルではなくcファイルを早めに開いてルークを活用することを狙うため、この後のナイトのマヌーバリングとセットで働くことになります。
14... Rg8! 15. h4 h5 16. Ne2!?
この変化の典型的なナイトの動きです。g6 のビショップは、今のところ働きはさほど良くないですが、ナイトをf4 まで運んでこれを取る狙いを見せておきつつ、h5 のポーンをアタックしておきます。
16... Bd6 17. Be3 Ne5 18. Nf4 Rc8 19. Bb3 Rxc1+ 20. Bxc1 Ke7 21. Ke2 Rb8!?
この辺りで私と彼のオープニングの研究が完全にかぶっていることを悟りました。Kramnik - Topalov では、21... Rc8 22. Rd1+/= となって白やや優勢と研究されたため、ルークをb8 に回してb7-b5 から手を作ろうとするこのアイディアを、ハンガリーのマスターたちが考案しました。事前のそのゲームをいくつかチェックしていましたが、Hajnal 程のプレーヤーであれば、そのゲームを解析済みであったか、一緒に研究していたとしてもおかしくありません。
22. Rd1 b5 23. axb5
23. g3!?N bxa4 24. Bxa4 f6 25. Nxg6+ Nxg6 26. f4+/= と進める変化はコンピュータの指摘で、このようにf4, g3 の黒マスをカバーできれば、ダブルビショップを得た白がやや優勢であることは間違いないでしょう。
23... Rxb5 24. Ba4 Rb6!?N
試合後に確認したところ、この新手までHajnal の研究手順だったそうです。100試合を超えるハンガリーでの公式戦の中で、24手目までお互いの研究通りに進んだのは初めてでしょう! アイディアはe6 のポーンをルークの横利きで守っておくことにより、これまで試されてきたエクスチェンジサクリファイスを防ぐことです。24... Rb7 25. b3 f6 26. Rxd6!? Kxd6 27. Ba3+ Kc7 28. Nxe6+ これが私の指したかった変化で、白はダブルビショップとピースのコーディネーションにより、エクスチェンジの代償を伴ってプレーすることができます。
25. b3 f6 26. Rxd6?!
色々と考えた末に、同じようなエクスチェンジサクリファイスが成立すると思ってこの手を実行してみました。確かに成立はしているのですが、白がアドバンテージを求めるならば、もう少し駒は盤上に残さなければいけないでしょう。26. Be3 Rb7 27. Nxg6+ Nxg6 28. g3! (この手は試合中、私たちが見落としていたアイディアです。) 28... Rc7 29. f4 Rc2+ Hajnal とこのポジションを検討しましたが、おそらくダブルビショップによるわずかなアドバンテージが白には残るでしょう。
26... Kxd6 27. Ba3+ Kc7 28. Bc5 Bf7!?
やっぱりエクスチェンジを返しますよね。28... Rb7 29. Nxe6+ Kc8 30. Bf8 Bf7 31. Nc5 ならば、上記の変化に手順前後するので、これが私の狙いでした。
29. Bxb6+ Kxb6 30. Nd3 Nxd3 1/2-1/2
前日のErdely とのゲームとは異なり、この同色ビショップエンディングはどうやってもドローでしょう。ここでHajnal からのオファーを受け、ゲームを終了させました。
10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259) 1-0
10/21 09:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/21 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 0-1
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346) 1/2-1/2
10/23 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)
今日のVamos 戦で3つ勝ち越しに入れるかどうかは、今大会を最終結果に大きく影響しそうです。去年から3連勝中の相手ですが、彼のSlav Exchange を退けるのは少し骨が折れます。(9月は相手のひどいブランダーであっさり勝ちましたが) どうしても白星がほしいならば、1... Nf6 を指すのも1つの手ですが、これからExchange を指す相手にSlav が指せないならば、ずっとSlav を使い続けることはできないので、1... d5 で勝負することになるでしょう。多分!
この日は全試合がドロー。Farkas - Sean は2ピース+ルーク vs クイーン+2ポーンという謎のマテリアルでした。Sean は毎試合、めちゃめちゃなサクリファイスをしすぎです。彼がもっと安定して大会で結果を出すためには、もう少し堅いプレーができる必要があるでしょう。
Sarosi - Minko はNimzo-Inadian で、かなり黒にチャンスがあると思いましたが、年の功で粘ったSarosi がドローに持ち込みました。やはりこの辺りのベテランマスターは一筋縄ではいきません。ここまでこなした試合数がバラバラなため、勝ち越し数でプレーヤーを分けておきます。
+2 Kojima, Minko
+1 Hajnal, Lyell
+-0 Vamos, Sarosi
-1 Sean, Farkas, Meszaros,
-2
-3 Erdely
明日の結果次第で、また私とMinko のノーム争いが白熱しそうです。3つ勝ち越しになってからが本番でしょう。
2 件のコメント:
お疲れさまです。7p以上取るには残り4戦を3勝1分または4勝ということになるのでしょうか・・ 最終戦あたりで手堅くprizeを収めに行くかnormを狙うかの選択を迫られそうな気がします・・汗
3連続ドローで、今大会でのノームは消えました。FS の分が認められれば問題ないんですけどねぇ。
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