Introduction 1
3つ目のIM ノームを求めた3回目の遠征中、帰国したら是非とも始めようと思っていたのが、私が黒で得意としている、Caro-Kann Classical の連載です。2010年から指しているCaro-Kann Defence の中でも特に、Classical Variation は黒番での勝率はかなり高く、この2年程は公式戦での負けがありません。実際、3つのノームを獲得したトーナメントでは、全てCaro-Kann Classical での勝利が、ノームに必要な勝ち越しを支える結果となっています! Sicilian Sveshnikov やFrench Defence に心が傾いていた時期もありますが、やはりCaro-Kann Classical がベストパートナーであると、現在は確信しています。(将来どうなるかは分かりませんw)
これからこの連載をするにあたり、Caro-Kann Classical の白黒両サイドでのアイディアをご紹介していこうと思いますが、最初の2回は導入ということで、懐かしいゲームを発掘してみます。私の中学時代、Caro-Kann Classical は同級生の桑田くんが好んで使うオープニングで、これに白でどう対抗するかは、当時1.e4 プレーヤーだった私の課題でした。今日ご紹介するのは、私や桑田くんがまだ若かりし、中学3年生だった頃の春合宿のゲームです。
Kojima, S - Kuwata, S
Azabu Spring Training 2004 (3)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 Qc7!?
Azabu Spring Training 2004 (3)
現在、黒はショートキャスリングするのが主流とは言え、ロングキャスリング派も根強く生き残っており、Caro-Kann Classical プレーヤーの間でも、人気が分かれるところです。ショートキャスリングする変化に比べ、黒からカウンタープレーを作るのは難しいですが、その分キングは安全で、指してみる価値はまだまだあるでしょう。
11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O O-O-O 13. Qe2!?
13. Ne4 からg3 の使いづらいナイトを捌くアイディアもありますが、私はクイーンを退き、Nf3-Ne5 を軸に戦うアイディアを好んでいました。
13... e6 14. Ne5 Nb6 15. c4!?
このユニークなポーンサクリファイスのアイディアは、Judit Polgar の試合から学んだと記憶しています。メインラインは、15. Ba5 Rd5 と進みます。
15... Rxd4 16. Be3 Rxd1+ 17. Rxd1 Qxe5?
桑田くんは私の思惑通り、トリックに引っかかりました。17... Bd6?! 18.Rxd6! も黒としては面白くないため、f7 のフォークを事前にはずす、17... Rg8 が正しい手です。
18. Rd8+! Kxd8 19. Bxb6+ axb6 20. Qxe5
白はこうして、ディスカバードチェックからクイーンを取って優位に立ちます。マテリアルだけを見れば黒もまだ戦えそうですが、黒マスビショップを出す良いマスがないのが痛手となります。
20... Kc8 21. a3 Be7 22. Nf5 Bc5 23. Nxg7 Ng4 24. Qf4 Nxf2 25. Qxf7 Rd8 26. Nxe6 Be3+ 27. Kb1 Rd1+ 28. Ka2
これで黒の攻めは完全にストップし、続きはありません。あとは相性の良い、ナイトとクイーンの攻めを決めて白勝ちです。
28... Kb8 29. Qc7+ Ka7 30. Nd8 1-0
この当時、Caro-Kann Classical に対しては特に苦手意識もなく、ショートキャスリングするラインに対しても、適当にキングサイドから攻めれば勝てると思っていました。それが若さからくる思い違いだと気づくのは、しばらくして初手1.e4 から離れ、再び戻した大学時代のことです(笑)
Vol.2 に続く
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