Introduction 2
大学時代に1. e4 から1. Nf3 に切り替え、English 型や1. d4 メインラインの勉強を数年した私が、再び1. e4 に戻ってきたのは、2010年の頭のことです。そんな私が対Sicilian を中心に、新しいレパートリーを構築しようとしていて行き当ったのは、Caro-Kann に対してどの変化を指すか、ということです。高校時代には、Main Line, Exchange, Advanced Variation など、いくつかの変化を使ってきましたが、2010年に試そうと思ったのが、Panov Botvinnik です。
Kojima, S (FM, JPN, 2312) - Shen, S (CHN, 2386)
Thailand Open Chess Championship 2010 (4)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. c4 Nf6 5. Nc3 g6!?
Thailand Open Chess Championship 2010 (4)
c7-c6, d7-d5 から、白マスビショップを早めに展開する準備をするCaro-Kann は、意外とキングサイドフィアンケットとの相性が良いものです。Panov Botvinnik の5手目は、5... e6, 5... Nc6 が他にポピュラーな変化で、どれも特徴があって面白いでしょう。
6. cxd5!?
6. Qb3 がメインラインかつ、白が唯一アドバンテージを取れる変化だという意見もありますが、私は当時、d4 のポーンを多少弱めても分かりやすい変化を選ぶことにしていました。
6... Nxd5 7. Bc4 Nb6 8. Bb3 Bg7 9. Nf3 Nc6
私がPanov を選んでいたことには、IQP ポジションの理解を深めるためという理由があります。他のオープニングのレパートリーは、Sicilian Alapin, French Tarrasch であり、どれもがIQP ポジションになりやすい変化です。ちなみにこのポジションは、Sicilian Alapin からでも派生しうるでしょう。1. e4 c5 2. c3 g6 3. Nf3 Bg7 4. d4 cxd4 5. cxd4 d5 6. exd5 Nf6 7. Nc3 Nxd5 8. Bc4 Nb6 9. Bb3 Nc6
10. d5 Na5 11. Be3 O-O 12. O-O Bg4 13. h3 Bxf3 14. Qxf3 Nbc4 15. Rfe1!?
黒はナイトをうまく使ってb2 を攻めますが、白はe7 のポーンをアタックすることでバランスを取ります。(狙いは次に、Be3-Bg5) このような開いたeファイルを使うのは、IQP での一つの有効な手の作り方です。
15... Nxe3!? 16. Qxe3 Nxb3 17. axb3 Bxc3 18. bxc3 Qxd5 1/2-1/2
黒はすべてのマイナーピースを交換し、ドローをチョイスしてきました。c3-c4 からb3 を守り、次にe7 を取れば形勢はイコールでしょう。私はここでドローを受け、試合を終わらせました。
私はこのゲーム後、Panov を諦めたわけでも、1. e4 を諦めたわけでもありません。ただ純粋にCaro-Kann に対して、どのように指すべきかという疑問を膨らませたのです。そんな疑問を解決するために、黒番でのCaro-Kann の研究を始めたわけですが、まさかそれがCaro-Kann の世界にどっぷりとはまるきっかけになるとは、思ってもいませんでした(笑) Vol.2 は導入の後半ということで、タイトルのClassical とは違う変化の試合をご紹介しましたが、Vol.3 からは、メインのClassical の解説を本格的に始めようと思います。
Vol.3 に続く。
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