2013/10/20

CAISSA 2013 October IM 1st round - Minor Piece Ending -


ブダペスト西駅にて

今月も後半はケチケメートでのIM トーナメント、CAISSA に参加します。日本から遊びに来ていた中高の同級生、外賀くんとはこの日の午前中、西駅で別れました。わざわざ日本から来てくれてありがとう! また東京で会いましょう。


こうして10年来の友人との別れを済ませ、一路ケチケメートへと旅立ったわけですが、気づくと聞いたこともない駅に到着していました(笑) ハンガリーに来て初めての列車の乗り過ごしで、ケチケメートより一駅先まで行ってしまったのです! 幸いにもケチケメートからさほど離れていない駅であったことと、上りの電車がすぐに来たことで、なんとか無事にケチケメートに戻ることができました。試合では、もうちょっと気を引き締めていきましょう。

そして直前にオーガナイザーのErdely 氏からきた連絡で知っていましたが、事前の発表とは多少メンバーが変わっています。今回、ケチケメートで試合をする10人は以下の通りです。

Sean, W /FM /IDA /2360 /1997 /3W1D
Hajnal, Z /IM /HUN /2346 / 1980 /1L2D
Kojima, S /FM /JPN /2344 /1988
Minko, V /FM /RUS /2312 /1998
Meszaros, A /IM /HUN /2299 /1956 /2W1L1D
Sarosi, Z /IM /HUN /2272 /1958 /1W1L1D
Lyell, M /FM /ENG /2259 /1961 /3W2L3D
Farkas, T /IM /SRB /2257 /1969 /5W2L
Vamos, V /HUN /2175 /1983 /3W
Erdely, T /HUN / 2144 /1953 /1D
Average: 2276


インドネシアの試験をなんとか誤魔化したSean と、CAISSA IM クラスの守護神、Hajnal が加わりました。この10人ラウンドロビン9R で、IM ノームの獲得は5つ勝ち越しの7ポイントとなっています。リスト決めのくじでは白番の多い1を再び引けたので、先月のように負けスタートにならないよう、気合を入れて初戦に臨みます。

Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257)
CAISSA 2013 October IM (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d5 6. O-O Nc6 7. cxd5 Nxd5 8. Nc3 Nb6 9. d5 Bxc3!?



久々に、Grunfeld でセンターを白から交換する変化を指そうかと思った矢先、見たことのない手が飛んできました。今年のJapan League のIkeda - Taga 戦がこれに似た形だったことを思い出し、ありがたく黒マスビショップを貰って勝負することを決めます。

10. bxc3


10. dxc6 Bg7 11. Qc2!+/= このようにしても良かったのですが、ポーンストラクチャーよりもダブルビショップを優先しました。

10... Qxd5 11. Nd4 Qc4 12. Nxc6 bxc6 13. Bh6 Re8 14. Qd4!



ここはクイーンを早々に交換し、ダブルビショップとポーンストラクチャーの良さで勝負することにします。黒はどこかで1ポーンは返さなければいけないでしょう。

14... Qxd4 15. cxd4 Bd7 16. Rfc1 e5 17. dxe5 Rxe5 18. Bxc6!?


18. Rc2 Rae8 19. e4+/= と指し、ポーンをすぐに取り返すよりも、ダブルビショップをキープして黒陣にプレッシャーをかけ続けるプランもあるようです。私はビショップvsナイトでも十分に白にチャンスがあると考え、ポーンをこのタイミングで取り返すことにしました。

18... Bxc6 19. Rxc6 Rxe2 20. Rxc7+/=



白の黒マスビショップは、明らかに黒のナイトよりも強力でしょう。相手キングを抑え込んでいる白が、指しやすいことは間違いありません。しかし、ポーンストラクチャーは完全に対象であるため、チャンスを作れる場所は限られています。

20... Nd5 21. Rb7 Nf6 22. Be3 a6 23. h3 h5 24. Rd1!?


これは思い切った手だと思って指しますが、Farkas はリスクを取らずに冷静に対処します。

24... Re8!?



24... Rxa2 25. Rd6 Ne4 26. Rdd7 Rf8 27. Ra7! これでポーンを後ろから抑えつつ、Be3-Bh6 の狙いを見せておけば、白のイニチアチブは長く続きそうです。

25. a4 Ne4 26. Ba7


26. Ra7 Nxg3 27. Rxa6 Nf5 28. Bg5+/= これで白良しというのがコンピュータの評価ですが、g3 を取らせてポーンのストラクチャーを乱したうえ、f5 という絶好のマスを黒に与えるのは、人間の感覚では少し妙に思えるでしょう。

26... Nf6 27. Kg2 R2e7 28. Rdb1!?



28. Rxe7 Rxe7 29. Rd8+ Re8 30. Rd6 Re6 31. Rxe6 fxe6 32. f4 Kf7 このようにルークを2つ捌いては、白はビショップでどのポーンも狙うことができないため、ドローが関の山だと判断しました。白が勝つためには、ルークを最低一組は残して戦うべきです。

28... Rxb7 29. Rxb7 Re6 30. a5 Kf8


キングがセンターに寄るのは自然に思えますが、私はここでかなり時間を割いて考え、ポーンをかすめ取る変化を読みました。黒キングに上がられても、勝ちを求めるならばチャンスを作るのはここしかないと判断します!

31. Bc5+ Ke8 32. Rb8+ Kd7 33. Rf8 Kc6 34. Bd4!



この34手目が見え、31. Bc5+ を指す決断ができました。これで駒得になった白は是非とも勝ちたいところですが、Farkas のここからの判断は非常に実戦的で上手かったと思います。

34... Kb5 35. Rxf7 Nd5 36. Rd7 Kc4 37. Ba7


多少黒のキングをアクティブしにさせてしまいましたが、なんとかポーンを取り、さぁここからというポジションで...

37... Re7!?



ルークの強制交換です! 私ならば、ルークが残っていたほうが反撃が作りやすいと判断し、この手はあまり考えないでしょう。しかし、よくよく考えてみれば、マイナーピースエンディングにした場合、どのようにして白が勝てば良いのか意外と難しそうです。

38. Rxe7 Nxe7 39. Kf3 Kd5 40. Kf4 Ke6


ここで40手目を迎え、30分の増加時間を貰います。ここから白はキングでgポーンを狙うか、aポーンを狙うかを選ばなければいけませんが、どちらに対しても黒はうまくディフェンスをしてきます。

41. Bd4 Nc6 42. Bc3 Ne7 43. Ke4 Nc6 44. Bd2 Kd6 45. Kf4 Ke6 46. Kg5 Kf7



最初はクイーンサイドにキングを向けようと思っていましたが、d4,d5 のマスを抑えられていては、キングが簡単に侵入できません。そこでターゲットをキングサイドに変更しますが...

47. Bc3 Ne7 48. Kh6 Nf5+ 49. Kg5 Ne7 50. f3


やはりh7 までもぐり込んでも何もないと判断し、ポーンを進めてパスポーンを作りに行く最終手段に出ます。この時、fファイルよりも、hファイルにパスポーンがあるほうが、黒キングがaポーンから遠いために有利だろうと思ったのですが、それでも黒のディフェンスは十分でした。

50... Nf5 51. g4 hxg4 52. fxg4 Nd6 53. Be1



53. Kf4 Ke6 54. h4 Nf7 55. h5 gxh5 56. gxh5 Nh6 57. Bd4 Nf5 58. Bb2 Nh6 このように素早くhポーンを進めても、h6 のマスを抑えられた際の勝ち方が思い浮かびませんでした。(Fritz11 のエンジンは白勝勢を示しますが、具体的な勝ち筋は出てきません。) ちなみにこのエンドゲームの大前提ですが、白がh6 のマスをビショップで抑えたうえでh5-h6 と突いても、黒はナイトをサクリファイスしたうえで、キングをa8 やb7 に到達させればドローに持ち込めます。aファイルの最終マスは白マスであるため、黒マスビショップでは勝てないのです!

53... Nc4 54. Kf4 Ke6 55. Bc3 Nd6 56. h4 Nf7 57. Bg7 Nd6 58. Bb2 Nc4 59. Bc3 Nd6 60. Bd4 Nf7 61. Bg7 Nd6 62. h5


全くポジションを進展させるプランが思い浮かばず、仕方がないのでとうとうパスポーンを作ることにします。

63... gxh5 63. gxh5 Kf7!



当然ながら、黒はg8, h7 をカバーできるように、キングを寄せていきます。あとはナイトをサクリファイスしてドローになります。

64. Bc3 Kg8 65. Ke5 Nb7 66. Kf5 Kh7 67. Bd2 Nd6+ 68. Ke6


68. Kg4 Kg7 としても、白はこの後、何の進展も得られないでしょう。

68... Nc4 69. Bc3 Nxa5 70. Bxa5 Kh6 71. Bd2+ Kxh5 1/2-1/2



試合中も現在も首をかしげていますが、白はどこかで勝つチャンスがあったでしょうか。また時間のある時に考えることにして、次の試合に向かいます。今日は先月のCAISSA で敗れたLyell とのリベンジマッチとなります!

10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259)
10/21 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346)
10/23 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)
10/27 15:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)

今回のCAISSA は27日までの予定ですが、29日からはノビサドで試合が始まるため、スケジュールを調整してもう少し早めにブダペストに戻りたいところです。9試合のスケジュールは現段階での予定なので、変更する可能性もありそうですね。


昨晩は久々に半年ぶりに、こちらのレストランへ。今日からはまたトルティーヤに戻りそうです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

53kh6

Shinya_Kojima さんのコメント...

コメントが遅くなりました。
キングをhファイルからもぐりこませても、結局はhファイルのパスポーンが武器にならないので、うまくいかない気がします。うーん。

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