ハンガリーのGM Seres Lajos とは8年ぶりの対戦です。前回の対戦から私はレイティングを50上げ、相手は50下げてほぼ同じ数字になっています。なかなか勝ち星に恵まれないようですが、彼の手堅い棋風を破るのは容易ではありません。
Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
First Saturday GM December 2021 (3)
1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 c6 5. e3 Nbd7 6. Bd3 dxc4 7. Bxc4 b5 8. Bd3 Bd6
今回、Semi-Slav Meran には8... Bd6 を用意していました。ほとんど実戦経験はなく、今回が初披露の場です。 First Saturday GM December 2021 (3)
9. O-O O-O 10. e4 e5 11. Bg5 h6 12. Bh4 exd4 13. Nxd4 Ne5 14. Bc2 Re8 15. Bg3?!
私が調べていたのは、15. Nf5 Bxf5 16. exf5 Nc4 と進む変化で、こちらも黒満足です。
15... Bb7
試合直前、15. Bg3 の実戦も見つけて並べていましたが、そのゲームで登場したのがc6 を素直に守るこの手でした。Nd4-Nf5 を誘って勝負ですが、コンピュータはもっと良い手を指摘します。15... Bg4! 16. f3 Bc5! 17. Nce2 (17. Bf2 Qb6 18. b4 Bxb4-+) 17... Qb6! 18. fxg4 Rad8-+ 白マスビショップの展開からf2-f3 を誘い、a7-g1 ダイアゴナルを素早く利用することで黒は大きなアドバンテージを得ます。16. Nf5 Bf8 17. Bxe5!
Seres は驚くことに序盤で大長考に入り、この手を指した時点で残り時間は14分ほどでした。1時間のリードを貰った私はここからしっかりと考え始めます。
17... Rxe5 18. f4?!
しかし、次にノータイムで指してきたこの手は上手くなかったようです。プランはf2-f4, e4-e5 からd6 にナイトの跳び込む拠点を作ることですが、過去の実戦通り18. Qf3 b4 19. Ne2 と指すほうが良かったようです。18... Re8
18... Qb6+ 19. Kh1 Rxf5!!
この手は私も考えましたが、本当にエクスチェンジの代償が十分なのか、自信が持てませんでした。20. exf5 c5! 21. a3 Rd8 22. Qe2 Re8-/+ これで黒良しというのがコンピュータ評価です。黒のb7 のビショップは非常によく利いていて、白キングに長くプレッシャーをかけています。b5-b4 からナイトを脅かし、Bb7-Ba6 に切り替えることも可能でしょう。なにより白から攻撃を作るプランがないという点が、エクスチェンジの代償が十分であると考えるポイントのようです。
19. e5 Qb6+ 20. Kh1 Rad8 21. Qe1 c5!
本譜でも上手くルークを先にセンターに回し、白マスビショップのラインも開くことができました。Nc3-Ne4-Ned6 のようなマヌーバリングに気を付け、ゲームを進めていきます。22. Rd1 Rxd1 23. Qxd1 Rd8 24. Qe2 Nd5 25. Ne4
25. Nxb5 Ba6 26. a4 Nc7= ならば互角の形勢ですが、白は本譜のほうがアタックの楽しみがあるでしょう。
25... Nb4 26. Bb1 Bxe4!?
d6 への跳び込みを警戒して、自分からビショップナイト交換を仕掛けます。26... c4 27. Ned6 g6 28. Nxb7 Qxb7 29. Ng3 Nd3= もありえた展開です。27. Qxe4 g6 28. Ng3 c4!
黒にチャンスがあるとすれば、クイーンサイドのポーンマジョリティを活かしたプレーと、Nb4-Nd3 の跳び込みだと考えました。しかしSeres は時間のない中、最後まで冷静です。
29. f5! Nd3! 30. e6
安全にドローを取るならば本譜で十分です。私は30. Bxd3 cxd3 31. e6 d2 32. exf7+ Kxf7= もありえる難しい展開だと読んでいました。30... Nf2+ 31. Rxf2 Qxf2 32. exf7+ Kh8
32... Kxf7 33. Qe6+ Kg7 34. Qxg6+ Kh8 35. Qf6+ Kg8 36. Qe6+= はもう1つのパペチュアルチェックの可能性です。
33. Qe5+ Bg7 34. Qe8+ Bf8 35. Qe5+ Bg7 1/2-1/2
途中黒が良くなるところもあったようですが、前日のはっきり勝ちを逃したようなゲームとは違うので、この内容でひとまずは納得しています。スタートから3試合連続ドローになったGMトーナメントは今回が初めてで、どこで勝ち負けがつくか少しドキドキしてきました。今日はハンガリーの兄弟マスター、Berczes兄弟の弟、David との対戦です。12/4 Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/5 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Pap, M (GM, SRB, 2373) 1/2-1/2
12/6 Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/7 Berczes, D (GM, HUN, 2453) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/8 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
12/9 Rest Day
12/10 Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/11 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nagy, G (GM, HUN, 2527)
12/12 Rest Day
12/13 Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/14 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)
First Saturday GM December 2021 Standings
+2 Girinath
+1 Berczes
+-0 Nagy、Nitish、Seres、Kojima、Avinash
-1 Pap、Souhardo、Pasztor
3日目はBerczes が黒でPasztor に勝ち、Girinath が白でSouhardo に勝ち、Avinash がPap に勝ちと多くのボードで決着がついています。最年長かつ今回最もレイティングの低いGirinath は非常に力強いプレーで、今日も同郷の若者を沈めていました。Girinath はすでに2つのGMノームを持っているそうで、今回3つ目のチャンスは大いにありそうです。 ブダペスト到着後、食事を作ってくれていた妻が地方大会に向かったため、これから食事が課題です。
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