昨日出現した本の中から一冊拝借してきました。ロシアのGM Konstantin Sakaev のSlav シリーズ第2弾には、私がメインで使うSlav の変化が取り扱われており、これはチェックしなければいけないと飛びつきました。買ってしまおうか迷い中です。
さて、ノームの消えた直後の5日目は、CAISSA ではすっかり馴染みの顔となった、セルビアのIM Farkas, T が相手です。今年はここまで3連勝中で、今大会の浮上のきっかけをつかむのは、もはや彼とのゲームしかありえないかもしれないとまで思っていました。
Farkas, T (IM, SRB, 2255) - Kojima, S (FM, JPN, 2357)
CAISSA 2013 September IM (5)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. c4 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Nf3 Be6!?
CAISSA 2013 September IM (5)
今回のハンガリー遠征では、Panov Botvinnik 対策のラインを完全に一新しています。6... Bg4 と指すのが普通で、こちらはかつて私もメインで使っていました。e6 のマスにビショップを置くこの珍しい手は一見不自然にも思えますが、黒マスビショップはフィアンケットしてしまえば問題ありません。
7. c5 g6 8. Bb5
c4-c5 と突き越した場合、c6 のナイトと白マスビショップを交換して、e5 のマスを確保するのはスタンダードなプランです。またこの突き越しにより、白はクイーンサイドでポーンマジョリティを得ますが、d4 のポーンが弱くなるという欠点もあります。
8... Bg7 9. Ne5 Bd7 10. Bxc6 Bxc6!? 11. O-O O-O 12. Re1 Nd7!
e5 の強力なナイトを消し、d4 のポーンをアタックできるようにします。
13. Nxc6
13. Bf4 Nxe5 14. Bxe5 f6 15. Bg3 Qd7 16. b4! b5 $5 17. a4 a6 18. Qe2+/= これならば、白はやや指しやすそうです。私はe7-e5 をもう少し早く狙えるかと思っていましたが、白もb4-b5 を見せつつ、e7 にプレッシャーをかけることでそれを抑え込みます。
13... bxc6 14. Bf4 Re8! 15. Qd2?!
この後、黒は簡単にアドバンテージを握ることになります。私は白クイーンを置くべきマスは、a4 で間違いないと考えていました。15. Qa4 e5! (15... Qc8!?) 16. dxe5 Bxe5 17. Bxe5 Nxe5= 黒の弱点であるc6 にプレッシャーをかけることで、e7-e5 に対抗すれば、まだイコールで試合は続くでしょう。
15... e5! 16. dxe5 Nxe5
黒はe7-e5 のブレイクからピースをセンターに運びます。d4 の弱点は消えてしまいますが、その代わりにルーク、ナイト、ビショップの3ピースがアクティブになり、さらにはdファイルにパスポーンを得ることになります。加えてc5 に残ったポーンが弱いのも、黒としてはつけ込むポイントになるでしょう。
17. Bxe5
これは苦渋の決断ですが、Ne5-Nc4 がある以上、仕方のないピース交換かもしれません。17. b3?! Qa5! 18. Na4 Qxd2 19. Bxd2 Nd3 20. Rxe8+ Rxe8 21. Rd1 Re2-/+
17... Bxe5 18. g3?!
すぐにポーンを落とさないためには、18. f4 Bg7 19. Rxe8+ Qxe8 20. Re1 Qd8 21. Ne2 Qe7 22. b4 a5-/+ と指すしかありませんが、これでも苦しい状況は変わりません。
18... Qa5! 19. Rac1 Qxc5
ここはcファイルのルークを恐れず、ポーンを取りに行きます! 有効なディスカバードアタックは存在しません。
20. Na4 Qb5 21. b3 Bd6! 22. Rxe8+ Rxe8 23. Qc3 Re2!
cポーンを落としたことの代償として唯一考えられるのは、c6 のポーンへのカウンターですが、黒はそれ以上に早く次の攻撃を作り出します。
24. Kg2
24. Qxc6?? Re1+ 25. Kg2 Qf1+ このようなバックランクタクティクスに引っかかる相手ではありませんでしたが、ルークが7段目に侵入できればそれで十分です。
24... Rxa2 25. Qxc6 Qe2!
いよいよ勝負を決めに行きます。ポーンは一時的に返してしまいますが、白は全体のピースのコーディネーションが悪く(英語の解説ではこう書くのが一般的ですが、日本語で代わりのうまい表現が見つかりませんでした。)、白キングへのアタックを捌き切ることはできません。
26. Qa8+ Kg7 27. Qxa7 Be5!-+
ビショップのダイアゴナルをa1-h8 に戻し、白からのチェックを完全に消しておきつつ、f2 を狙えば勝負は決まりです!
28. Rf1 Qe4+ 29. Kg1 Bd4 30. Qa5
30. Nc3 Rxa7 31. Nxe4 dxe4-+ こちらもピースアップの黒が問題なく勝つでしょう。
30... Rxf2!
出発直前、大山くんとのゲームでは、まさかの勘違いでこのタクティクスを不発に終わらせましたが、今回は何度も確認したうえで実行に移します。
31. Rxf2 Qe2 32. Kg2 Qxf2+ 33. Kh3 Qf1+ 34. Kg4 h5+ 35. Kg5 Bf6# 0-1
自分の手には1つも疑問手マークをつけなくて良いと言い切れるほど、完璧に近い指し回しができたと思います。思えばFirst Saturday でも、ノームのチャンスが消えた直後の試合が一番内容が良かったような... やはり気負いすぎず、リラックスして指すのが一番かもしれませんね。
そして、やはりCaro-Kann は頼りになります。ハンガリーに戻ってから2勝3ドローなので、黒のオープニングとしては十分な数字です。(内容としては、5勝してもおかしくないのですがw)
9/21 15:30 FM Kojima, S 2357 - FM Lyell, M 2220 0-1
9/22 16:30 IM Meszaros, A 2273 - FM Kojima, S 2357 1/2-1/2
9/23 15:00 FM Kojima, S 2357 - Bird, A 2203 1/2-1/2
9/24 15:00 FM Kojima, S 2357 - Rudakov, A 2209 0-1
9/25 15:00 IM Farkas, T 2255 - FM Kojima, S 2357 0-1
9/26 15:00 FM Kojima, S 2357 - FM Keresztes, R 2237
9/27 15:00 FM Sean, W 2338 - FM Kojima, S 2357
9/28 10:00 Vamos, V 2181 - FM Kojima, S 2357
9/28 15:00 FM Kojima, S 2357 - IM Sarosi, Z 2265
28日中にブダペストに帰れるようにするため、8R,9R のスケジュールを調整しました。28日の最終日は1日2試合のきつい日程ですが、なるべく勝ち越しを多くできるように、ここからの後半戦も頑張ります! (適度にリラックスもします。)
この日はSean-Lyell の一戦が行われ、French MacCutcheon から、あわやクイーンが盤上に5つ登場するのではないかという乱戦になりました。(クイーン5つは、私の13年のチェス人生でも、実戦で見たのは一度だけです!) そんな捩じり合いのゲームを、最終的には若いSean が制しました。そして試合前には敵同士でも、試合が終わればこうして誘い合って食事に出かけます。この日は真面目な話が多く、Lyell はGM Groszpeter、Sean はGM Sax からレッスンを受けていることを聞きました。私もこちらで誰かコーチを探しましょうかね...
0 件のコメント:
コメントを投稿