2013/09/09

FS 2013 September IM 2nd round - A Little Cut -


この日はHungarian Team Championship で本来は休憩日でしたが、ハンガリー以外からのプレーヤー6名は最終戦を先にこなすことになりました。私はベルギーのNo.1 ユース、Verstraeten との対戦です。

Verstraeten, R (BEL, 2298) - Kojima, S (FM, JPN, 2357)
First Saturday 2013 September IM (2)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 d5 6. a3 Be7 7. cxd5 Nxd5!?



ハンガリーに戻ってからは、しばらく1.d4 に対してはNimzo-Indian で勝負することを決めていました。このラインは夏に少し調べただけでしたが、オープニングは無難に乗り切ったと思います。

8. Qc2 Nd7 9. e4 Nxc3 10. Nxc3 c5 11. d5 exd5!?


11... Nb6 12. dxe6 Bxe6 13. Be2 Bf6= と捌くのはシンプルな答えでした。アウトポストにナイトを運ばせても、展開に勝る黒がチャンスを得ると思っていましたが、それはやや楽観的な評価だったようです。

12. Nxd5 Bd6 13. f4!?



試合中、さらにピースの展開を遅らせるのは不自然だと思いましたが、e5 のマスを抑えて黒のピースの働きを抑え込めるのであれば、この手は十分に有効でしょう。

13... Re8 14. Bd3 Qh4+ 15. g3 Qh3


こうしてキャスリングを封じ込めるのが、私がf2-f4 を見たときに思い付いた作戦でした。ところがここから緩手が出ます。

16. Bf1 Qh5?!



16... Qe6! (Qxe4+ とQxd5 がダブルスレット!) 17. Be3!? (17. Nc3 b6 18. Bb5 Bb7=/+) 17... Qxe4 18. Qxe4 Rxe4 19. O-O-O これならポーンの代償ありというのが、 コンピュータの評価です。実際にはVerstraetenは、試合後に17. Nc3 を指すだろうと教えてくれました。

17. Be2 Qh3 18. Bf3!


この手を過小評価していました。これで白はe4 を守りつつ、Bf3-Bg2 を指すことでキャスリングも可能となります。

18... Nb6 19. Bg2 Qd7 20. Nxb6 axb6 21. O-O Qc7



序盤で黒が得た指しやすさは、すっかり消えてしまいました。そのうえでe4-e5 を突かれてb7 に長期的なプレッシャーをかけられるは困るので、手数をかけてもクイーンをこの位置に運びます。

22. Bd2 Bd7 23. Bc3 c4!


反撃に出るために、黒マスビショップのマスを作ります。彼はc3-g7 のダイアゴナルにこだわったようですが、私であればもっと早くe4-e5 を突くでしょう。

24. Bd4 b5 25. Qc3 Bc5 26. Rad1 Bg4!



dファイルを一方的に取られないようにするために、とても重要な一手です。

27. Rd2 Rad8 28. Bxc5 Qxc5+


これはほぼイコアライズできているだろうと思い、ここで一度ドローオファーをします。(実際、できていると思います)しかし、彼はこれを蹴って勝負です!

29. Kh1 Qc7 30. h3 Bd7 31. Rfd1 Bc6 32. Kh2 f6!



最初はh7-h6 と突くつもりでしたが、やはり将来的なe4-e5 に備えておくことと、e4 のポーンをターゲットにすることを考え、こちらのポーンを伸ばしてバックランクを守ります。キングの安全性は多少気になりますが、a2-g8 のダイアゴナルを使われる心配は、今のところなさそうです。

33. Rd4 Qe7


ここは時間のない中、どちらを指すか悩みました。コンピュータはこれでも悪くないと主張しますが、33... Rxd4 34. Rxd4 (34. Qxd4 Qe7!) 34... Rd8 ならば、ルークを2つ交換してイコールであることは間違いないでしょう。私は先にe4 にプレッシャーをかけても同じだと思っていましたが、次の白の一手を見落としていました。

34. Qa5! Rxd4 35. Rxd4 Qc5 36. Qd2



白は2つ目のルークを交換することを避け、dファイルの支配を続けます。黒もe4 へのプレッシャーが残りましたが、ポーンを取るのは簡単ではないので、ここからどう手を作るか少し悩むところです。

36... g6 37. h4 Qe7 38. Qd1 Qc5 39. Qd2 Kg7 40. Qe3 Qe7


これで40手が過ぎ、30分が追加されました。丁寧に指せばドローチャンスは十分にあるはずでしたが、油断が出たのかここからミスが続いてしまいました。

41. Qc3 Qc5? (41... h5!) 42. g4! Kg8?! 43. g5!+/=



白はポーンをg5 まで伸ばすことで、自身のeポーンをパスポーンにします。こういったシンプルな作戦への警戒が足りていなかったのは、このゲームでの最大の反省点です。

43... Qe7 44. Kg3! fxg5?


eポーンがパスポーンになるのは仕方ないとしても、せめて相手から取らせるべきでした。黒から取ってしまっては、キングサイドのポーンは、実質3対1になってしまいます。44... h5!? 45. gxf6 Qxf6 46. Bf3+/=

45. hxg5+/- Rf8 46. Qd2 Re8 47. e5 Rf8 48. Bd5+ Kh8 49. Bxc6 bxc6 50. Rd6 Qa7


最後の抵抗のつもりでクイーンを振ります。しかし、ここから相手の対応はすべて正確でした。

51. Qd4 c5 52. Qd2 b4 53. e6 c3 54. bxc3 bxa3 55. Rd7 Qa4 56. Qe3 Kg8 57. Qe5 1-0



完璧ではないにしろ、Verstraeten くんのプレーには、私のみならず日本人が学ぶべきことが多く詰まっていると思います。そして彼には、対戦相手にお土産のベルギーチョコを配る心遣いがあり、そのうえイケメンでした。今回は大敗北ですが、これから互いにもっと上の舞台に上がることになるでしょう。次の対戦を楽しみにしています。

9/07 14:30 FM Kojima Shinya 2357 - IM Szalanczy Emil 2261 1-0
9/08 16:00 Verstraeten Rein 2298 - FM Kojima Shinya 2357 1-0
9/09 16:00 IM Szeberenyi Adam 2320 - FM Kojima Shinya 2357
9/10 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Sean Winshand Cuhendi 2338
9/11 10:00 FM Lyell Mark 2220 - FM Kojima Shinya 2357
9/11 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Blazeka Matej 2312
9/12 16:00 IM Pribyl Josef 2314 - FM Kojima Shinya 2357
9/13 Bye
9/14 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Fayard Alain 2259
9/15 16:00 Rudakov Aleksandr 2209 - FM Kojima Shinya 2357
9/16 10:00 FM Kojima Shinya 2357 - Dokuchaev Andrey 2239
9/16 16:00 IM Farago Sandor 2254 - FM Kojima Shinya 2357
9/17 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - Moeldner Juergen 2273

今日はハンガリーで2勝1敗5ドローの、IM Szeberenyi との対戦です。昨日の夜は少し凹んでいましたが、気は晴れてきましたので、ここでまた浮上のきっかけを掴めるようなゲームができればと思います。


ハンガリーは日本よりも涼しいですが、昨日はまだ夏の名残を感じる陽気でした。


試合前には景気づけに、オランダから来た友人とフォーシーズンズへ。結果が伴わなかったのは残念です。

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