2013/09/10

FS 2013 September IM 3rd round - Two Bishops vs. Development -


Photo by Yamamoto

ハンガリーに復帰して3戦目は、地元のIM Szeberenyi との対戦です。彼とは昨年の6月から実に9回目の対戦となり、この1年半に限って言えば、日本のどのプレーヤーよりも試合を組まれているかもしれません。もはや手の内は知り尽くしている...と言いたいところですが、今回はまたこれまでとは違った試合になりました。

Szeberenyi, A (IM, HUN, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2357)
First Saturday 2013 September IM (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 O-O 8. Rc1!



好みの問題もあると思いますが、白でベストだと私が判断するのはこの手です。実際に指されるのは、昨年7月のFS 以来です。

8... dxc4 9. Bxc4 c5 10. dxc5!? Bxc5 11. O-O Qe7 12. Qc2!?


ここは白の作戦を決めるポイントでしょう。私が事前にチェックしたところ、12. Ne4 Rd8 13. Qe2 Bb6 と進むゲームがありました。これに対して、Szeberenyi はクイーンをc2に運ぶことで、cファイルの支配とb1-h7 のダイアゴナルにこだわります。

12... Rd8 13. a3 Bd7!



これは柔軟性のある一手だと指していて思いました。一般的にはナイトを先に出すべきですが、ビショップは結局このマスに出るかしかないため、Nb8-Nc6 を遅らせ、Bd7-Bc6 の可能性も見せておきます。

14. Ba2 Bb6


次のNc3-Nd5 を警戒してビショップを引きますが、コンピュータの提案は全く違ったものです。14... Bc6! 15. Ne5 Bd6 16. Nxc6 Nxc6= このように進めば、黒はダブルビショップを失いますが、その代わりに展開の遅れを取り戻すことができます。異色ビショップにするとドローの可能性が高くなるため、このゲームではなるべくダブルビショップを残すことを考えていました。

15. Bb1 g6 16. Rfd1 Nc6 17. h4!+/=



ここまで手順前後ですが、Ftacnik の実戦がありました。白はビショップナイトですが、2つのナイトは非常にアクティブに働くチャンスがあり、キングサイドへのプレッシャーをもあってやや優勢でしょう。

17... h5 18. Qe4 Qf6!?


最初はNc6-Na5 からBd7-Bc6 をメインに考えていましたが、Nc3-Nd5! で駄目なことに気が付き、作戦を練り直します。そこで思いついたのが、クイーンがb2 の守りを離れ、e4 のマスが埋まったことを利用して、f6 にクイーンを上げるこの手です。

19. Na4?



指された瞬間、おや?と思い、40分あった残り時間の半分を使って、思いついた手をひたすら読みます。それを読み切り、実行に移すことができなかったのは、言い訳の余地なく、私の実力がまだまだだからでしょう。

19... Na5?


正しくは19... Nd4!! と指すべきで、これで黒はやや優勢になります。いくつか変化を挙げておきましょう。

a) 20. Nxd4 Bxa4 =/+ これはシンプルです。しかし、これが白としてもベストで、このやや劣勢を受け入れなければいけません。

b) 20. Nxb6 Nxf3+? 21. gxf3 Bc6 22. Rxd8+ Rxd8 23. Rxc6 bxc6 24. Nc4+/-


Analysis 1

この2ピースルークから何かチャンスを作れないか考えていましたが、さすがに無理です。この変化を20分考え、19... Nd4 を諦めました。

c) 20. Nxb6 Bc6!! (このようにナイトを交換を挟む前にBd7-Bc6 を挟むのが正解でした。上のラインと比較すると、白がルーク交換をすぐにできないのがポイントです。) 21. Rxc6 Nxf3+ 22. Qxf3 Qxf3 23. Rxd8+ Rxd8 24. gxf3 bxc6-+


Analysis 2

なんとナイト取りと、バックランクチェックからのビショップ取りがダブルスレットになっており、黒勝ち確定です。ナイトを取り返す前にBd7-Bc6 と指すアイディアが見えていながら、なぜ先にf3 のナイトを交換ばかりを考えていたのか。こういった貴重なチャンスは、試合中にそう何度も訪れるものはありません。

20. Nxb6 axb6 21. Qe5 Qxe5 22. Nxe5 Ba4 23. Rxd8+ Rxd8 24. Be4 Nc6



これでポーンは落ちないと勘違いし、ドローオファーをしました。時間が少ないとはいえ、もう少しちゃんと読めと自分の頭をはたきたくなります。

25. Bxc6! bxc6 26. Nxc6 Rd2


Nc6-Ne7 がチェックになることが、私の読み落としでした。これでポーンを失った黒は、オープンファイルからの反撃に望みを託します。

27. b4 Bxc6!?



27... Ra2 28. Ne5 Rxa3 29. Rc8+ Kg7 30. Ra8+/- このような展開でも厳しいと考え、敢えてビショップナイトを交換することで、ルークエンディングへとポジションを変化させます。

28. Rxc6 Ra2 29. Rc3 b5


試合中、私はこの手は必須だと思ったのですが、実際はどうでしょうか。ポーンをa3 に固定しておいたほうが、相手がポーンを進めるテンポが遅くなるため、こういったブロックはなるべく早めにやるものだと考えました。

30. g3 Kg7 31. Kg2 Kf6 32. Kf3 Rb2 33. e4



ビショップナイトを交換して、1ポーンダウンのルークエンディングにすると消えた時点から気にしていたことですが、白がどこかでaポーンとbポーンを交換しようと考えるとどうなるでしょうか。
33. Rc5! Rb3 34. Ke4 Rxa3 35. Rxb5 Ra2 36. f4 Rg2 37. Kf3 Rb2 38. Rb7 Rb1 39. b5 Rb2 40. e4 Rb3+ 41. Kf2 Rb2+ 42. Ke3 Rb3+ 43. Kd4!(ここまでくれば、gポーンを捨てても問題なさそうです。) 43... Rxg3 44. b6 Rb3 45. Kc5+- これは白勝ちになりそうです。

33... Ra2 34. Ke3 e5


Ke3-Kd4-Kc5 と入られては抵抗ができないため、残り2秒まで考えてこの手を指します。6段目の横利きを開くのは少し不安でしたが、bポーンをキングで取られることだけ防がなければいけません。

35. f4!?


ここから白がどのように勝ちにいけばよいか、いまだによくわかりません。メインで私が考えていたのもこの手ですが、これが正解なのかは確信が持てません。しかし、今度はポーンを取り合った場合、黒のルークが3段目で白キングをカットオフしているので、上に記したラインより白の勝ちが明確でないことは確かです。

35... exf4+ 36. Kxf4 Rf2+??



あと数手で時間が増えるというこの状態で、ここまでの粘りを台無しにしてしまいました。指した瞬間、これはないと思ったブランダーです。f2-f4 のメインの狙いは、e5 のポーンを消すことで、再びキングをd4 に運べるようにすることです。それを一瞬忘れて、白キングはキングサイドからの侵入を狙うと勘違いしたのは、この試合での最大のミスでした。

36... Ra1! 37. Rc6+ Ke7 38. Ra6 Rf1+ 39. Ke3 Re1+ 40. Kf3 Rf1+ 41. Ke2 Rc1+/= このように待ちの状態を続けた場合、やはり白の明確な勝ちのプランはわかりません。

37. Ke3 Ra2 38. Kd4+- Re2 39. Kc5 1-0


白の肝心なポーンはすべて3段目で守られており、クイーンサイドに2コネクテッドパスポーンができるならば、黒には抵抗のしようがありません。悔しいですが、ここでリザインです。

ハンガリーでも久々の連敗ですが、気持ちは割と落ち着いています。(2戦目の負けの後はだいぶ険しい顔をしていたそうですが...)今日は白番でインドネシアのSean との対戦ですので、ここも勉強になるようなゲームをしてきたいと思います。

9/07 14:30 FM Kojima Shinya 2357 - IM Szalanczy Emil 2261 1-0
9/08 16:00 Verstraeten Rein 2298 - FM Kojima Shinya 2357 1-0
9/09 16:00 IM Szeberenyi Adam 2320 - FM Kojima Shinya 2357 1-0
9/10 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Sean Winshand Cuhendi 2338
9/11 10:00 FM Lyell Mark 2220 - FM Kojima Shinya 2357
9/11 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Blazeka Matej 2312
9/12 16:00 IM Pribyl Josef 2314 - FM Kojima Shinya 2357
9/13 Bye
9/14 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Fayard Alain 2259
9/15 16:00 Rudakov Aleksandr 2209 - FM Kojima Shinya 2357
9/16 10:00 FM Kojima Shinya 2357 - Dokuchaev Andrey 2239
9/16 16:00 IM Farago Sandor 2254 - FM Kojima Shinya 2357
9/17 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - Moeldner Juergen 2273


会場には7か月前にはなかった水のボトルが登場。宿から飲み物を持っていく必要がなくなったのは楽ですね。


また管理人さんに食事をお世話になることに。いつもありがとうございます。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れ様です。今回の会場は以前と比べて広めな感じですねぇ。ごはん抜きにならないように気をつけましょう・・汗

Shinya_Kojima さんのコメント...

会場はこれまでと同じ場所ですよ。
写真の撮りかたによって、広く見えていますかね。

匿名T さんのコメント...

お疲れ様です。
私なら19手目bishop引いてる所です。(r1200~1400)
残りも頑張って下さい。b

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