2014/04/17

Country Roads BCCO 6th round - Fighting with Double Rook Ending -


トンロー駅近くで大量のマンゴーが積まれているお店は、バンコクでも有名なフルーツ屋さんだそうです。マンゴーは屋台で剥かれているものを何回か食べましたが、自分で買って冷やし、食べてみても良さそうですね。ただし、このお店は若干高めです!

さて、バンコクでの大会もいよいよ後半戦に突入です。珍しく、毎ラウンドで違う国のプレーヤーと当たる私は、この日フィリピンの2200台との対戦が組まれました。フィリピンのプレーヤーが、レイティング以上の実力を持っていることは、すでに直前のラピッド大会で確認済みです。正直嫌な相手でしたが、自分が上に行くためには、黒でも勝たなければいけません。

Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Bangkok Chess Club Open 2014 (6)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c3!?



London System を研究してきたため、この始めてみる手には驚きました。おそらく、この後にBc1-Bf4 を指すことはわかっていましたが、この手順から入られると得意のQd8-Qb6 のラインが指せません。それでも、なんとか満足な形を考えます。

3... e6 4. Bf4 c5 5. e3 Nc6 6. Nbd2 Bd6


Reversed Slav 4.e3 のような形になりましたが、黒としてはそんなに不満はないでしょう。あとはどのように白マスビショップを展開するかがポイントです。

7. Bg3 O-O 8. Bd3 Re8 9. Ne5



こうしてe5 のマスをがっちり抑えられる形は、指されてみれば嫌なものですが、丁寧に対応するしかありません。f2-f4 を突くことで、弱くなるであろうe4 のマスを1つの目標にします。

9... Qc7 10. f4 b6 11. O-O Bb7 12. Bh4 Be7 13. Qf3 a5!?


Bb7-Ba6 はStonewall Dutch でしばしば見られるアイディアで、最も攻撃に使いやすいd3 のビショップを消してしまうことを狙っています。これに対してクイーンを退くのは少し予想外でした。

14. Qe2 Ne4!=



白の黒マスビショップは通常のStonewall に比べてアクティブなポジションにいますが、これをテンポ良く交換し、e4 のマスさえ押さえてしまえば、黒に大きな問題はないでしょう。

15. Bxe7 Nxe7 16. Bb5 Red8 17. a4 Nxd2 18. Qxd2 Ba6 19. Bxa6 Rxa6 20. Rf3!?


3ピースを捌いても、なおこのようにルークを使うのかと、私にとっては驚きのプランです。e5 のナイトはいつでも追い返せるうえ、e4 には絶好のアウトポストがあるため、少し黒が指しやすいのではないかと思います。

20... f6 21. Nd3 Nf5!?



ここは指した後で、少し焦りすぎだったかと反省しました。a6 のルークをひとまず退いておく、21... Ra7=/+ は堅実な1手です。

22. Qe2! c4 23. Nf2 Nd6 24. e4 f5


e3-e4 からe3 の弱点を消されてしまいますが、まだアウトポストへのナイトの跳びこみやすさで、黒にチャンスがあると判断します!

25. exf5 exf5 26. Re3 Ne4 27. Nxe4 fxe4 28. Rf1 b5!?



これはかねてから考えていたアイディアで、6段目でルークの利きを通すとともに、将来的にb2 を狙えるようにします。

29. axb5 Rb6 30. Rh3 Qf7!


ひとまず、h5 のマスを抑えてQe2-Qh5 を止めておきます。

31. Qg4 Rdb8 32. Rh5 Rxb5 33. Rf5 Qg6 34. Rg5 Qf7 35. Rf5 Qg6 36. Rg5 Qf6 37. Rf5 Qd6 38. Rg5 Qf6 39. Rf5 Qd6 40. Rg5 Qe7 41. Re5 Qf7 42. Rf5 Qb7!?



この辺りは時間を増やすため、長い応酬を繰り返しました。実を言えば、42手目の白の手で3回同一局面が成立しているので、勝負にいきたかった私としては、相手が気付かなくてくれてラッキーでした。

43. Re5 Rxb2 44. h3!?


44. Qe6+ Qf7 45. f5 (45. Qxd5 Qxd5 46. Rxd5 a4 47. Ra5 Ra2-+ は7段目を完全にルークでコントロールして、黒の勝ちです。) 45... R2b5=/+ このように、d5 を狙いに行くプランも、うまくはいきません。

44... a4 45. Kh2 Rb6!?



ここは素直に、45... a3! 46. f5 Qd7 47. Qg3 Kh8-+ でゲームオーバーでした。f4-f5 からの攻めがどれほど脅威になるか分からず、堅実な手を選択します。

46. f5 Rf6 47. Ra1 Ra8 48. Re6 Qb8+!? 49. Kh1 Rf7 50. f6 Qc8!


これは我ながらうまい手だと思いました。クイーン交換は黒の望む展開ですので、e6 のルークを挟んでクイーンを向い合せ、ルークの動きを制限します。

51. fxg7 Rxg7 52. Qf5 Ra6! 53. Re5 Qxf5 54. Rxf5



こうして黒はクイーン交換に成功し、勝てそうなダブルルークエンディングに突入します。しかし、ここからも少し慎重になりすぎました。

54... Ra5?!


54... a3! 55. Rxd5 Rb7 56. Rg5+ Kh8 57. Rf5 a2 58. Rff1 Rb2-+ これは南條くんが指摘したラインで、d5 のポーンを捨ててしまっても、パスポーンを後ろと横からサポートしている黒は、簡単に勝つことができるでしょう。

55. Rb1 h6 56. Rf6 Ra8 57. Rxh6 a3! 58. Rf6 Rg3! 59. Kh2 a2 60. Rbf1 Rxc3 61. Rg6+ Kh7 62. Rff6 Ra7!



相手は私の思いつかないアイディアでルークを利用し、タフなディフェンスを見せます。ダブルルークはメイトスレットやパペチュアルチェックの筋を作りやすく、ディフェンス側としてはアイディアが豊富にあることを、この試合で確認することができました。しかし、相手の手に感心するばかりでなく、自分でもチャンスの作れる手を探し続けます!

63. Rh6+ Kg8 64. Rfg6+ Kf8 65. Rf6+ Ke8 66. Re6+ Kd8 67. Rd6+ Ke8 68. Rde6+ Kf8 69. Ref6+ Rf7!


同じ手の繰り返しで時間を増やしつつ、fファイルでルークをぶつけるアイディアで間違いがないことを確認します。ここからは黒のルークも7段目に入って、白キングにプレッシャーをかけます。

70. Ra6 Rc2! 71. Rhg6 Rff2


ここは71... Rg7!-+ というシンプルかつ強力なアイディアを見通していました。ルークを1枚交換できれば、黒が勝ちのルークエンディングであることは明らかです。

72. Ra7 c3 73. Rc6 Rxg2+ 74. Kh1 Rh2+ 75. Kg1 Rcg2+ 76. Kf1 Rf2+ 77. Kg1 Rhg2+ 78. Kh1 Kg8?



ここは残り数十秒まで考えた決め手のつもりでしたが、もっと簡単な勝ちがありました。それは7段目のパスポーンをプロモーション&サクリファイスすることです! 78... a1=Q+!! 79. Rxa1 Rh2+ 80. Kg1 Rfg2+ 81. Kf1 e3!


Analysis Diagram

一度ルークを7段目から遠ざければ、黒キングへのメイトスレットは消滅します。その隙に別のパスポーンを押し進めれば、黒の勝ちは間違いありませんでした。 82. Ra8+ Ke7 83. Ra7+ Kd8 84. Rd6+ Kc8 85. Rc6+ Kb8 86. Re7 Ra2 87. Kg1 Rhb2 88. Re8+ Kb7 89. Rf6 Rb1+ 90. Rf1 Rxf1+ 91. Kxf1 c2-+

79. Rxc3?



ところが、相手はチャンスを逃し、負けを決定づける悪手を指してしまいました。正しいディフェンスは、79. Rc8+! Rf8 80. Rcc7! こうしてルークを8段目に下げさせておき、7段目を2つのルークでコントロールすることでした。 80...a1=Q+ 81. Rxa1 Rd2 82. Rg1+ Kh8 83. Rxc3 Rxd4 84. Rcg3-/+ このポジションはまだ黒にチャンスがありますが、やはりダブルルークエンディングは難しいものです。

79... Rg7!


これでキングの安全性を再び確保し、最終的な勝ちの形まで一直線です!

80. Ra8+ Kh7 81. Rca3 Rf1+ 82. Kh2 Rf2+ 83. Kh1 Rb7! 84. Kg1 Rc2! 0-1



aポーンは取られても、1手早く7段目と8段目を抑えてチェックメイトになるため、黒の勝利です。こうしたスレットが消えたり現れたりするところが、ダブルルークエンディングの醍醐味であり、難しいところなのでしょう。こうして会場で最後まで残った5時間半のゲームを制し、再び3つ勝ち越しグループへと舞い戻ってきました!


今日は南條くんも無事に勝利し、お祝いとして父と3人でシーフードレストランへ。シーフードのタイ料理として日本人に絶大な人気を誇る、カニのイエローカレー炒め、プッパッポンカリーを頼んでみましたが、若干違うものが来たような(笑)

Bangkok Chess Club Open 2014 Schedule and Results

04/12 15:30 R1 Holming, P (SWE, 2002) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/13 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Peng, X (CHN, 2193) 1-0
04/13 15:30 R3 Shukin, A (RUS, 2174) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/14 14:00 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Atalik, S (GM, TUR, 2562) 0-1
04/15 14:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246) 1/2-1/2
04/16 14:00 R6 Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/17 14:00 R7 Sardana R (AUS, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
04/18 14:00 R8
04/19 09:00 R9

04/12 15:30 R1 Vinay, K (IND, 1980) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/13 09:00 R2 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Shukin, A (RUS, 2175) 0-1
04/13 15:30 R3 Swati, M (WFM, IND, 2046) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/14 14:00 R4 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Peng, X (CHN, 2193) 1/2-1/2
04/15 14:00 R5 Xu X (CHN, 2101) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0
04/16 14:00 R6 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Lam D (HKG, 2111) 1-0
04/17 14:00 R7 Griffiths P (ENG, 2196) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321)
04/18 14:00 R8
04/19 09:00 R9

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