ブルノ2日目は唯一1日2試合のスケジュールです。2R は朝9時からスタートなので、外に出かける間もなく試合を迎えます。
Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Kotva, M (CZE, 1996)
Brno Open (2)
1. Nf3 Nf6 2. c4 c6 3. d4 d5 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 e6 7. f3 Bb4!? 8. e4 Bxe4
Brno Open (2)
90年代によく指されたこのピースサクリファイスの変化は、現在の研究では少し足りていないのではないか、という結論が出ています。それでも3ポーンピースというマテリアルが、実戦的に難しいのは間違いありません。
9. fxe4 Nxe4 10. Bd2 Qh4+!?
このチェックは初めて見ましたが、実際に考えてみるとありえそうな一手です。メインは10... Qxd4 で、こちらは夏のトレーニングで羽生さんと指し、2人でいくつのかアイディアを出し合っています。
11. g3 Nxg3 12. Nf3
ここはエクスチェンジを切り返すのも面白い変化です。12. hxg3!? Qxh1 13. Qg4 Nd7 (13... g6 14. Qf4 O-O 15. O-O-O+-) 14. Qxg7 Rf8 15. Nxd7 Kxd7 16. O-O-O+/=
12... Qh5 13. Rg1 Nxf1 14. Kxf1
マテリアルは怪しいですが、白はポーンを取り返すチャンスがふんだんにあり、これならば指せるだろうと考えていました。
14... Nd7 15. Rg5 Qh3+ 16. Kg1 Nf6 17. Rg3
将来的なgファイルからのカウンターを恐れて、g7 のポーンはしばらく取らないおこうと思いましたが、クイーンをぶつけるチャンスのあるこのポジションでならば、とっても問題なさそうです。17. Rxg7! O-O-O 18. Qf1 Qh5 19. Ne5+/=
17... Qf5 18. Nb5! cxb5 19. Bxb4
g7 を取るより優先したのは、黒マスビショップを頂いておくことです。黒はさらにキングをセンターにとどめなくてはならなくなり、苦しい展開が続きます。
19... Ne4 20. Rg2 a5 21. axb5 Qxb5 22. Qe1! g6 23. Ne5?!
指したとたんに次の黒の一手が見え、筋の悪い手だったと悟りました。23. Ba3! Qd5 24. Qh4+/- ならば、白の優位は明らかでしょう。
23... Qd5 24. Qe3 b6 25. Nxc4!?
ここは難しいですが、ポーンを取り返すチャンスはこの先なくなるかもしれないと考え、ここでc4 を取ることを決意します。
25... axb4 26. Rxa8+ Qxa8 27. Qxe4 Qa1+?
クイーン交換を避けるのは、キングの守りの薄い黒にとって危険な判断です。27... Qxe4! 28. Nd6+ Ke7 29. Nxe4 Rd8 30. Rd2 h6 この3ポーンピースは、どちらに形勢が傾くか、まだまだ分からないでしょう。
28. Kf2 O-O 29. Kg3!+/=
いかにも怪しそうですが、2段目のルークを活用するにはベストの一手です。
29... Qa2 30. Ne3 f5 31. Qf4 Qa7 32. Rc2! Rf7 33. Rc8+ Kg7 34. h4
ここから私は、どのように黒キングをメイトにするかを中心に考えていましたが、無理をせずにポーンをかすめ取っていくのが無難だと、コンピュータは指摘しています。34. Rc6! Qe7 35. Kf3! b5 36. Rb6+-
34... Qd7 35. Qe5+ Kh6 36. Rg8?!
やはり36. Rb8! からポーンを狙うべきでした。黒のディフェンスが全く見えていません。
36... Qc7 37. Kf4 Qc6 38. Kg3 Qe4 39. Qf4+!?
ここはクイーンをどちらのマスで交換するのがベストなのか分かりませんでしたが、e4 でも良いようです。39. Qxe4 fxe4 40. Ng4+ Kh5 41. Ne5 Rf1 (41... Rc7 42. Nxg6!+- この手が見えていれば、e4 でクイーンを交換する手を選んだでしょう。) 42. Rh8 h6 43. Re8 g5 44. hxg5 Kxg5 45. Rg8+ Kh5 46. Rg4 Rb1 47. Rxe4 Rxb2 48. Nf3+- 白のd4 のポーンはがっちり守られており、ここから黒のポーンはなすすべなく消えていきます。
39... Qxf4+ 40. Kxf4 Rd7 41. Ke5 Kh5 42. Re8 f4 43. Nf1!
ようやくおぼろげながら、ゴールが見えてきました。黒のキングサイドのパスポーンはうまくブロックし、白は切り札となるdファイルのポーンで勝負できるでしょう。
43... Kxh4
43... Rd5+ 44. Ke4 Rd6 45. Re7! h6 46. Nd2! Kxh4 47. Nc4 Rc6 48. Ne5 Rc1 49. Rxe6+-
44. Rxe6 g5 45. Rh6+!
これで勝ったと思いました。hポーンはブロックしつつ、キングをg4 に追いやることで、g5-g4 を遅らせます。
45... Kg4 46. d5 Kf3 47. Ke6 Rd8 48. d6 g4 49. Nh2+!
これもシンプルですが有効な一手。g4 にナイトを当ててキングをg3 に寄せることで、今度はg4-g3 を遅らせます。
49... Kg3 50. Ke7 Rg8 51. Rxh7 Kg2 52. Nxg4 1-0
最後はお互いにルークを切り合ってポーンエンディングになりますが、bポーンに位置が近い白が無事に勝利を収めるでしょう。予想したより時間がかかったので、急いでお昼をゲットしに行き、午後の3Rに備えます。
チェコはサンドウィッチが安くて美味しいと、日本の友人からメッセージが来ましたが、こうしたスーパーのは何か違うような(笑) 3日目以降、ちゃんとしたサンドウィッチを探しに行こうと思います。それでは午後の3R へ。相手はチェコで調子を上げてきている、15歳の少年です。
Blahynka, M (CZE, 2188) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
Brno Open (3)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 a6!?
Brno Open (3)
あまり深く考えていませんでしたが、いつもと違った形で指してみることにします。しかし、この後の相手の応手により、結局いつものフィアンケットに。
5. Bd2 g6 6. Qb3 Bg7 7. Nf3 O-O 8. a4 a5 9. cxd5 cxd5 10. Ne5 Nc6 11. f4 e6 12. Be2 Ne8!?
ここからゲームは、長い長いマヌーバリングの争いになります。
13. O-O Nd6 14. Nb5 Ne4 15. Be1 f6 16. Nd3 Rf7 17. Bf3 Bf8 18. Rc1 Nd6 19. Nxd6?!
白としては、b5 の好位置に置いていたナイトをすぐに消してしまうのは勿体ありません。19. Nc5 Nc4?! 20. Rxc4! dxc4 21. Qxc4+/- この形は白がエクスチェンジの代償を補って余りあるため、Nd6-Nc4 は恐れなくても良かったでしょう。
19... Bxd6 20. Bh4 Nb4! 21. Nxb4 axb4!
このポーンストラクチャーでの戦い方は、ノビサド初戦の検討から学びました。黒は何とか、クイーンサイドでチャンスを作ろうとします。21... Bxb4 22. Be1=
22. Qd1 Bd7 23. b3 b5 24. axb5 Bxb5 25. Rf2 Rfa7 26. Rfc2 Ra3 27. Rf2 Kg7=/+
黒は一時的にできたダブルポーンを解消し、aファイルからルークを侵入させるアイディアで優位に立ちます。しかし、b3 のポーンをさらに狙うのは簡単ではなく、手をどこから作るか、悩ましいのはここからです。
28. Be2 Bd7!?
28... Qb6 29. Bxb5 Qxb5 30. Rfc2 Kf7=/+ こうしても黒はわずかな優位を保っていますが、なるべくピースの交換を避けつつ、c6,c8 のマスを抑えたままで戦おうと考えました。
29. Bd3 Qb6 30. h3 R8a5 31. Kh1 Qa7 32. Bc2 Ra1 33. Bb1 R5a3 34. Qc2 Ra6 35. Qd3 Rc6
ここでルークを1つ交換するプランは悪くないと思ったのですが、実際にはよくわかりません。代わりに35... Qb7 36. Rfc2 Bb5 37. Qd1 Qd7-/+ と指していても、アドバンテージをキープし続けられることは間違いないでしょう。
36. Rfc2 Rxc2 37. Qxc2 Qa3
これが私のアイディアで、うまくプレッシャーをかけ続けられていると思ったのですが、ここから残り時間がほぼないにもかかわらず、相手のディフェンスは正確でした。
38. Rf1 Bb5 39. Rg1 Qa6 40. Re1 f5
コンピュータはクイーンを交換するラインを示します。当然それは私も読み筋にありましたが、果たしてそれで勝てるのかは疑問です。40... Qc6!? 41. Qxc6 Bxc6 42. Bd3 Ra3 43. Rb1 Ba4 44. Bc2 Bb5 45. Kg1
41. Rg1 Ra3 42. Rc1 Ra1 43. Rg1 Kf7!?
クイーンを交換するならば、キングがクイーンサイドまで走ってからだろうと、ここからキングを動かします。
44. Re1 Ke8 45. Kg1 Kd7 46. Kf2 Qa8 47. Rc1 Ra6 48. Qd2 Rb6 49. Bd3 Bc6 50. Qc2 Rb8 51. Qb2 Qa3 52. Qc2 Qa8 53. Qb2 Rb7 54. Ra1 Ra7 55. Rxa7+ Qxa7
しかし、新しいルークの侵入経路を探そうとしましたが、これがうまくいかずにルーク交換をせざるをえなくなりました。こうなれば、b3 にもこれ以上プレッシャーはかけられず、ドローは避けられないでしょう。
56. Ke2 Qa5 57. Qb1 Qa3 58. Kd1 Kc7 59. Kc2 Kb7 60. Kd1 Kc7 61. Kc2 Kd7 62. Qb2 Qa8 63. Kb1 Qb7 64. Qa2 Qa8 65. Qxa8 Bxa8 66. Kc2 Bc6 67. Kd2 Ke8 1/2-1/2
試合は4時間を超え、会場で残った最後のボードとなりました。どこでもう少し実戦的なチャンスが作れたかは、また別の機会に振り返ってみようと思います。
11/16 16:00 R1 Kreyssig, B (GER, 1837) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 0-1
11/17 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Kotva, M (CZE, 1996) 1-0
11/17 16:00 R3 Blahynka, M (CZE, 2188) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 1/2-1/2
そして4R のペアリングが発表され、会場で最も気になっていたプレーヤーを引きました。それが...
カザフスタンのWIM Abdumalik Zhansaya です。2000年生まれの彼女は、U10 の元女子チャンピオンにして、現在U14 Girls の世界ランキング1位です。昨年にはWGM タイトルを2番目に若い記録で獲得したと、Susan Polgar のブログで記事を見つけましたが、申請をしていないのでしょうか。FIDE では、まだWIM のままです。さらに今回は、グルジアのGM Arutinian, David をコーチとして引き連れています。私同様、ヨーロッパ遠征中のようですが、力の入れ方がすごいですね。
そして私は彼女を知っていました。6月の韓国の時に各国のプレーヤを調べており、カザフスタンに強い2000年生まれの少女がいることを知りましたし、実際に韓国ではカザフスタンチームと対戦しています。
そんなことより、可愛いのかを教えろよ! という読者のために補足しておくと(笑)、結構可愛いと思います。写真が撮れれば明日の記事でアップしますが、それが待てない方は自分で調べてみてください。それでは3日目の試合も頑張ってきます!
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