ラウンドロビンの最終戦を迎えるこの日、7R の相手はセルビアのベテランGM Kostic です。前日の痛い敗戦を払しょくするためには、ここで負けるわけにはいきません。前日、金曜の夜は、外が騒がしすぎてあまり眠れませんでしたが、10時開始の試合のために寝ぼけ眼をこすって会場に向かいます。
Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Kostic, V (GM, SRB, 2436)
Memorijal Milja Vujovic GM (7)
1. Nf3 d6 2. d4 Nf6 3. c4 Nbd7 4. g3 e5 5. Bg2 Be7
Memorijal Milja Vujovic GM (7)
Qld Indian といううオープニングは、実は指されるのは初めてかもしれません。黒はビショップをファインケットしていませんが、基本的にはKing's Indian と同じように組むことを決めます。
6. Nc3 O-O 7. O-O c6 8. e4 Re8 9. h3 Bf8 10. Re1 a6!?
センターを開く前にa7-a6, b7-b5 と仕掛けるアイディアに対しては、Avrukh のKID の解説の中にあった返しで対応します。
11. Be3!? b5 12. dxe5 dxe5 13. a3!?+/=
c3 のナイトが追い返されることは止めておき、チャンスがあればb2-b4, c4-c5 とクイーンサイドを固めてしまいます。c4 のポーンは一時的に取られても、取り返す方法はいくつかあるので問題ありません。
13... Bb7
13... b4 14. axb4 Bxb4 15. Qa4! Bxc3 16. bxc3 Qc7 17. c5+/- このようにして黒マスをコントロールし、Nf3-Nd2-Nc4-Nd6 とナイトを組み替えるのは、13. a3 を指した時点で頭にありました。
14. Qc2 Qc7 15. Rac1 Rac8 16. b4?!
ちょっと怪しいかなと思いつつ指したこの手が、やはりベストではありませんでした。私はこのようなポーンストラクチャーでは、黒マスビショップの交換は黒にとって有利だと考えています。(白の白マスビショップはさほど働きが良くなく、d4 のアウトポストも弱くなるため) そのため、どこかでBf8-Bc5 の可能性は消しておきたかったのですが、少し神経質になりすぎたかもしれません。16. Red1!? Bc5 17. Qe2 Qb6 18. Bxc5 Qxc5 (18... Nxc5 19. b4 Nb3 20. Rb1+/=) 19. Bf1!?+/=
16... bxc4?!
16... c5! 17. Nd5!? Qb8! ( これが私の見落としていた単純なアイディアです。17... Nxd5 18. cxd5 c4=) 18. bxc5 Bxc5 19. Bxc5 Rxc5 20. Qe2 Qc8=/+ こうなると、確かに黒が指しやすそうですね。
17. Nd2 a5 18. bxa5 Ba6 19. Bf1 Bxa3 20. Ra1 Bb4 21. Bxc4!
ここは少し迷いましたが、a6 のブロックエードを外してしまえば、aポーンの脅威は増すはずだと考えました。21. Nxc4!? Rcd8!?=
21... Bxc4 22. Nxc4 Bxc3?! 1/2-1/2
ここまでうまく指しておきながら、最終局面の評価が正確にできず、ドローを受けてしまいました。(思い返してみれば、GM のドローオファーを蹴ったのは、人生で一度だけかもしれません。) クイーンで取り返した後、ポーンの代償はどうなのかなぁと考えていましたが、コンピュータは23. Bb6! (なぜか完全に見落としていた一手!) 23... Qb8 24. Qxc3 で大きな白優勢を示します。確かにこのポジションが見えていたら、ドローを受けることはないですよね。うかつでした... 黒は本譜よりも、22... Nc5! 23. Bxc5 Bxc5 24. a6!?+/= と指すべきだったかと思います。
そしてお昼を挟んだ午後の試合。ジャパンオープンの結果や写真をさくさくチェックしながら、スイス式に移行した8R のペアリング発表を待っていると、そこに出た対戦相手は2002年生まれで、レイティング1500台の少女... 1500台に当たるのも、11歳の女の子と試合をするのも、7試合連続で白星に恵まれないのも、ほとんどFIDE 公式戦で初めてのことです。なかなか初めて尽くしの今大会ですが、いよいよ初勝利を目指して、8R に臨みます。
Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Milivojevic, M (SRB, 1557)
Memorijal Milja Vujovic GM (8)
1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. g3 c5 4. Bg2 Be7 5. O-O O-O 6. d4 d6 7. Nc3 Nbd7 8. e4
ここはセンターにポーンを置かず、8. b3!? のように指すのも、フレキシブルで良いかと思います。
8... e5 9. d5 Nb6 10. b3 Bg4 11. h3 Bxf3?! 12. Qxf3 Qd7 13. g4
白マスビショップを簡単にいただいた白は、白マスの弱さを突くことと、f2-f4 から早めのセンターブレイクを仕掛けることを中心的なプランとします。
13... Ne8 14. Qg3 Qd8 15. f4 exf4 16. Bxf4 Bg5 17. Bxg5!? Qxg5 18. Rf5 Qe7 19. e5!
ここを開かなければ、e4 のマスや白マスビショップが活用できません。本当は黒マスビショップも残しておきたいところでした。
19... g6 20. exd6 Qxd6 21. Rf4!
これは我ながらうまい手だと思いました、次のNc3-Ne4 を恐れて黒がg6-g5 と突けば、f6 だけでなくf5 までもが穴になってしまうのが難点です。
21... g5 22. Rf3 Qxg3 23. Rxg3 Nd6 24. Rf1!?
この手は勝ちに行くためのベストムーブとして相応しいのか、判断が難しいところです。しかし、24. Ne4?! Nxe4 25. Bxe4 Nc8! 26. Re1 Nd6 27. Rge3 Rfe8 28. Kf2 Kg7 と進めば、d6 を完全にブロックエードされた白が、どのように手を作るか悩むでしょう。
24... Nd7
私が最もナチュラルだと思ったのは、24... Rfe8! 25. Rf6 Rad8 26. Rgf3 Kg7 27. Kh2 Re1 28. Rf2 といったようなセンターから反撃を仕掛けるプランで、これならば白のアドバンテージはわずかだったでしょう。
25. Ne4!?
f5 に穴を作ってもらい、Nb6-Nc8-Nd6 もなくなった今、ナイトを捌いてしまっても白の勝ちのチャンスは十分にあると判断します。
25... Nxe4 26. Bxe4 Rae8
26... Rfe8? 27. Bxh7+! Kxh7 28. Rxf7+-+ これは問題なく黒勝ちです。
27. Bf5 Rd8?
一目で敗着だと分かる一手です。27... Nf6 28. Rd3 Re2 29. Rf2 Re1+ (29... Rxf2 30. Kxf2 Rd8 31. h4 gxh4 32. Rh3 Kg7 33. Rxh4 h6 34. Kf3+/-) 30. Kg2 Rd8 31. d6 Kf8 32. Rfd2+/-これならば、強力なパスポーンを持つ白が長期的に見て優勢ですが、すぐに決定打が見つかるほどではありません。
28. Re3!+- f6 29. Re7
こうして7段目にルークを入れて勝負ありです。
Ne5 30. Bxh7+ Kh8 31. Rxb7 Rd7 32. Rxd7 Nxd7 33. Bf5 Ne5 34. d6 Rd8 35. d7 Nxd7 36. Rd1 Re8 37. Rxd7 Re1+ 38. Kf2 1-0
相手が11歳でも、1500台でも、久々の勝利は嬉しいものです。CAISSA の後半から数えれば、実に9試合ぶりの勝利でした。試合後、Dimitrijevic には、「とうとう勝ったんだね~」と言われる始末。うるさいわい(笑)
R1 10/29 17:00 Bodiroga, P (IM, SRB, 2387) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
R2 10/30 10:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sredojevic, I (FM, SRB, 2402) 0-1
R3 10/30 16:30 Stankovic, M (SRB, 2408) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
R4 10/31 10:00 Dimitrijevic, A (WFN, BIH, 2263) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
R5 10/31 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Rudakov, A (RUS, 2362) 1/2-1/2
R6 11/01 16:30 Dobrov, V (GM, RUS, 2528) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1-0
R7 11/02 10:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Kostic, V (GM, SRB, 2436) 1/2-1/2
R8 11/02 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Milivojevic, M (SRB, 1557) 1-0
R9 11/03 10:00 Tesanovic, R (SRB, 1837) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
最終戦は50代のプレーヤーですが、レイティングが付いたのは昨年末で、1800という数字もあまり信用はできません。今大会の結果を見る限り、さほど強くなさそうですが、油断せずにびしっと最終戦を締め、ブダペストに戻ろうと思います。本日、3日の夜行列車に乗り、4日の朝にはブダペスト着予定になっています。
この日、Green Table の店で買ったのは、Tortilja Soul Food なる一品。グリルしたチキン、ベーコン、野菜、サワークリームなどをパンで挟んでおり、味はもう最高です。実際はどうなのか分かりませんが、セルビア人のソウルフードとして、すでに私の頭にインプットされています。
ヨーロッパはどこもサッカーが大人気で、ここセルビアも例外ではありません。カフェのテラス席は、夜はこのようなモニターが出され、スポーツバーと化します。ちなみに、10月に日本とセルビアの親善試合が行われたのも、このノビサドのスタジアムです。
Memorijal Milja Vujovic GM (8)
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