2013/11/28

Czech Tour Pilsen Open 4th round


前日の粉雪舞う季節とはうってかわり、2日ぶりの晴天となりました。前大会で敗れた宿敵、Abdulmalik との試合が午後に控えますが、1つの楽しみを胸に共和国広場へと向かいます。道中、ローマ以来となる馬車も見かけました。


そう、この日からは共和国広場で、ピルゼンのクリスマスマーケットがスタートです! 何時からかは聞いてませんでしたが、午後の早い時間には、すでに大勢のお客さんがマーケットの屋台を巡っていました。こちらはハンガリーでもお馴染み、棒に焼き付けて焼くパン、クルトシュカラーチです。名称は違うようですが、チェコにもあるとは驚きでした。


ハンドメイドの石鹸も、この近隣の国ではよく見かけます。ブルノでは専門の店を見つけていくつか購入しましたが、こちらも色々と種類があるようなので、お土産用に買ってみても良いですね。


こちらの屋台ではお姉さんたちが何種類かのケーキを売っています。ブルノで食べた蜂蜜とクルミのケーキ、Medovy Dort もありました。個人的には、右端のチョコレートのタルトが気になります。今日も残っているでしょうかね。


マーケットをぐるっと一周して、一番気に入ったのは、こちらの木彫り細工のお店です。大小さまざまな細工が売っており、値段もなかなかお手頃。すでにお土産として、何点か購入しています。


マーケットを一通り見終わった後は、聖バルトロメェイ教会の内部に入ってみることにします。長年、ピルゼンのシンボルとしてそびえ立つこの巨大な教会は、離れた場所からもピルゼン中心地の位置を示す目印として、旅行者を手助けしています。


試合前、時間に余裕があったので聖バルトロメェイ教会に併設されたピルゼンタワーにも上ってみることにします。301段あるという階段を実際に数えてみようと、お気楽な気持ちで上り始めましたが、すぐに息は切れ、足はガタガタ。全くそんな余裕はありませんでした(笑)

それでは、4R の試合解説へ移ります。カザフスタンの女子代表、Abdumalik とのリベンジマッチです。

Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Abdumalik, Z (WIM, KAZ, 2311)
Pilsen Open (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. g3 d5 4. d4 Bb4+ 5. Bd2 Be7 6. Bg2 c6 7. Qc2 O-O 8. O-O b6 9. Rd1 Nbd7 10. Bf4 Bb7 11. Ne5!?



先週の試合から、先に私が手を変えます。早めに11. Ne5 と飛び込む変化は、今年イタリアのCaruana が成功しており、そのゲームをいくつか見て指すことを決めていました。

11... Nxe5 12. Bxe5 Rc8 13. Nc3 dxc4 14. e4?!


1ポーンを取らせてセンターを抑える戦略は、Catalan において時たま見られ、ポジションは非常にシャープになります。しかし、白はここでは手数をかけても、大人しくポーンを取り返すほうが良かったでしょう。14. Qa4! b5 15. Qxa7 Qd7 16. Bxf6 Ra8 17. Qb6 gxf6 (17... Ra6? 18. Bxc6!+- この1手が見えず、Qa4 からのa7 取りを切り捨ててしまいました。) 18. Ne4 Rfd8 19. Nc5 Bxc5 20. Qxc5+/= このポジションであれば、確かに白がやや指しやすそうです。

14... Nd7 15. Bf4 b5 16. a4!?



いきなりセンターブレイクを仕掛けるのもありそうですが、16. d5 cxd5 17. exd5 e5 18. Be3 Bc5! これがうまい1手で、どうしても白は良くなりません。

16... b4! 17. Nb1 Ba6?!


この辺りはお互いに難しいところです。17... c5! 18. Qxc4 (18. d5 exd5 19. exd5 Bf6-/+ この形は本譜に似ていますが、黒のビショップはb7 にいたままのほうが働けます!) 18... cxd4 19. Qxd4 Nc5!-/+ 私はc4 のポーンを取り返せれば多少悪くても戦えると思っていましたが、この位置にナイトを運ばれてしまうと、展開で劣る白はかなり苦しそうです。

18. Nd2 c5 19. d5 exd5 20. exd5 Bf6 21. Ne4!



21. Bf1 と指してあくまでポーンを取り返すことにこだわるアイディアと迷いましたが、やはりアクティブなプレーで1ポーンの代償を求めるほうが実戦的だと結論付けました。このナイトはここから本当に頑張ります!

21... Bd4 22. Nd6 Ra8 23. Nf5!?


23. Nxc4!? Bxc4 24. Qxc4 Bxb2 25. Rab1 Bc3 (25... Bd4 26. Rxd4! cxd4 27. Rxb4 このエクスチェンジサクリファイスは、試合中読んでいました。) 26. d6= このポジションでのポーンの代償が十分なのか、確証が持てなかったために、ナイトにはもうひと踏ん張りしてもらうことにします。

23... Qf6 24. d6 b3 25. Ne7+



センターのパスポーンと合わせて、ナイトはさらに良いマスへと移動を続けます。

25... Kh8


25... Qxe7!? 26. dxe7 bxc2 27. Re1!! この手は恥ずかしながら、試合中気づいていませんでした。ポーンでルークが取れるのに敢えてとらないのは、ルークをよける1テンポを稼ぐためです。(27. exf8=Q+? Rxf8 28. Rd2 (28. Re1? Bxb2 29. Ra2 c3-+) 28... Bxb2 29. Rxd7 Bxa1 30. Rxa7 Bc8-/+) 27... Rac8 28. exf8=Q+ (これで上記の変化に比べて、Rd1-Re1 と避けるテンポを稼げていることになります。) 28... Nxf8 29. Rac1 Bxb2 30. Rxc2 c3 このポジションはまだアンクリアーです。こういった変化を見ると、チェスはまだまだ奥深いものだと感じますね。

26. Qe2 Rab8 27. Nd5! Qg6 28. Nc7!



ようやくナイトが思い描いたマスまで到達しました。これでe8 のマスを抑えながら、a6 のビショップをアタックすることで、c4 のポーンを取り返すチャンスを得ます。それにしてもこのナイトの軌跡を考えると、Nb1-Nc3-Nb1-Nd2-Ne4-Nd6-Nf5-Ne7-Nd5-Nc7 ですよ。自分で指しておきながら、ちょっと信じられません!

28... Bb7 29. Bxb7 Rxb7 30. Rac1 Qf6 31. Rxc4!+/=


ようやく白はポーンを取り返すことができました。(30. Rac1 を挟んだのは、Qg6-Qc2 を防ぐためです。) c4 を取り返す1手は残り5分を切るまで考え、黒のアタックが脅威ではないことを読み切ったうえで指しています。

31... g5 32. Be3 Ne5?!



こう指したい気持ちは非常によくわかります。Ne5-Nf3 のナイトフォークがあるため、d4 は落ちないというのがAbdumalik の読みだったのでしょう。(当然、私も最初はそれで苦しいと思いました。) しかし、ここでは強力なエクスチェンジサクリファイスのアイディアが隠れています。

33. Rxc5! Bxc5


33... Bxb2 34. d7+- は黒ダメです。

34. Bxc5+/-



前回の彼女との試合よりも、明確に白はエクスチェンジの代償を得られているポジションです。白の黒マスの支配とdファイルのパスポーンは、十分に白勝勢と判断できる要因になりえるでしょう。

34... Nf3+ 35. Kg2 g4 36. Qe7! Kg7 37. d7!


すぐにルークを取る手も考えましたが、時間がなかったので別の分かりやすいラインにしました。37. Qxf8+ Kxf8 38. d7+ Kg8 (38... Kg7 39. Ne8++- このナイトフォークは、直前まで見えていませんでした。) 39. d8=Q+ Qxd8 40. Rxd8++-

37... Rbb8 38. Qxf6+ Kxf6 39. Bxf8 1-0



最後までどうなるか分からず、彼女の手が39手目で私のほうに差し出されたのを見て、ようやく人心地つくことができました。宿敵Abdumalik を下し、単独4連勝でのトップです!

11/24 16:00 Kalist, K (CZE, 1886) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 0-1
11/25 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Paldus, P (CZE, 2022) 1-0
11/26 16:00 Ernst, M (AUS, 2164) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 0-1
11/27 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Abdumilak, Z (WIM, KAZ, 2312) 1-0
11/28 16:00 Schmidt-Schaeffer, S (GER, 2382) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)


後半戦最初の5R は、今大会のリスト1、ドイツのSchmidt-Schaeffer との対戦です。白でも黒でもStonewall Dutch しか指さない彼に、どう対抗するかがゲームの鍵となりそうです。このピルゼンオープンを取るためには、このラウンドで負けるわけにはいきません。


試合後、マーケットで簡単に食事を済ませようと思いましたが、8時ですでに全ての屋台が終了していました! 仕方なく、以前足を運んだタイ料理屋へ。これまで見てきた限り、ピルスナービール1杯150円ぐらいが、チェコの標準だと思われます。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

将棋の森内名人が竜王位を奪取しました▼o・~・o▼ 年末の予定が空いた?のでロンドンに行くんでしょうか▼o・~・o▼謎 ロンドン▼o・~・o▼ロンドン▼o・~・o▼

Shinya_Kojima さんのコメント...

そのようですね。森内さん、おめでとうございます!

しかし、さすがにそんな急にスケジュールを変更するのは無理でしょう(笑)
ロンドンのスタートまでは、もう10日もないですよ。

匿名 さんのコメント...

3日の対局に勝つと6日に次の対局がありますね・・ ▽o・~・o▽ (王位戦予選トーナメント)

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