アグリジェントでの試合初日、朝7時に起きて朝食をとり、試合まで外をぶらぶらしてみます。シチリア島は3000m 級のエトナ山を始め、山の多い地形となっており、アグリジェント周辺も小高い丘陵地帯です。私の滞在しているホテルは、アグリジェント中心地から多少下ったところに位置しています。
行きは車で送られたため、どの辺りが中心地か分かりません。中心地に戻って観光するためには車が必要そうですが、そもそも試合のスケジュールが詰まっているため、その時間はなさそうです。
スーパーマーケットでは、ワイン、チーズ、ハムはさることながら、とにかくパスタの種類が多かったです。こちらは右も左も全てパスタで、キロ100円ぐらいが中心でした。当然ですが、日本よりも安いですね。
ホテルに戻ると、会場に人が集まり始めていました。チェスグッズの販売を行う人もおり、英語とイタリア語の本が並んでいます。若干本のラインナップは古く、ここで本を買う気にはなりませんが(笑)
そして試合開始は当たり前のように遅れます。前夜の食事会で仲良くなったミハエルは、いつも遅れるんだよ~と教えてくれました、さすがイタリア(笑) 私は事前の情報通りリスト4で、1900台の少年と試合スタートです。時間がないため、解説は簡単にしておきます。
Varriele, L (ITA, 1927) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
6° Open Internazionale "I Dioscuri" - Memoraila Filippo Vetro (1)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 dxc4 5. e4 b5 6. e5 Nd5 7. a4 e6 8. Ng5!
6° Open Internazionale "I Dioscuri" - Memoraila Filippo Vetro (1)
Slav Defence Geller Gambit を指されるのは久しぶりです。相手は14歳だと思いますが、なかなかオープニングは詳しかったですね。
8... h6 9. Nge4 b4 10. Nb1 Ba6 11. Nbd2 Nf4 12. Qg4 Nd3+ 13. Bxd3 cxd3 14. Nb3?!
c5 を狙うこの手はイマイチで、14. 0-0 と指しておくほうが良かったでしょう。
14... Nd7 15. Bd2 Bc4 16. Nbc5 Nxc5 17. dxc5 Qd5! 18. Bxb4 Qxe5 19. O-O Qf5 20. Qxf5 exf5 21. Nd6+ Bxd6 22. cxd6 Kd7
とりあえずオープニングの段階を乗り越え、黒にのみチャンスのある形になりました。どうすればdファイルのポスポーンを生かすことができるかを考えます。
23. Rfe1 Rhe8 24. f3 Rab8 25. Rxe8 Rxe8 26. Rc1 Bb3 27. Kf1 Rb8?!
27... Re2! 28. Re1 c5! (この手はもちろん考えたのですが、全く読み切れませんでした。) 29. Bxc5? Bc4!!
コンピュータがこの手を示しても、すぐには理解できませんでした。30. Bb4 (30. Rxe2 d2!-+) 30... d2 31. Bxd2 Rxd2+-+
28. Bc3 Kxd6 29. a5 c5 30. Re1 f6 31. g3 Bc2 32. Re3 h5
試合中、ポーンを取れる手を見逃したかと思いましたが、それは勘違いです。32... Rxb2 33. Bxb2 d2 34. Re1
33. Kf2 Rb7 34. Re8 Kd5 35. Ke3 Kc4 36. Kd2 Ba4 37. Re3 Rd7 38. Re6 Kb3 39. Re3 Bb5 40. Re6 Kc4 41. Re3 Bc6 42. Kd1 Rd6 43. f4 Be4 44. Kd2 Rd7 45. Re1 Rb7 46. Re3 Rf7 47. Re1 Kd5 48. Rf1 Rf8 49. Rg1 Kc4 50. Re1 Rh8 51. Re3 Kd5 52. Re1 h4 53. Rg1 hxg3 54. hxg3 Rh2+ 55. Kc1 Rc2+ 56. Kd1 Bf3+ 57. Ke1 Re2+ 58. Kf1 0-1
ずいぶん手間取りましたが、最後はhファイルから侵入して勝ちをもぎ取りました。隣のボードではロシアのIM が、14歳の少女を相手に苦戦していましたが、最終的には勝利。全11ボードで、結果は各上の9勝1敗1ドローだったようです。
お昼はすぐ近くのピザ屋さんで食べたのですが、量と値段、そして美味しさにたまげました。これまで日本やハンガリーでも、美味しいピザは食べたことがあるつもりでしたが、本場イタリアの石窯で焼いたピザは何かが違います。シンプルなマルガリータですが、私がこれまで食べたピザの中で一番だったと思います。7年半前、トリノでは何を食べていたのでしょうか...(笑) ちなみにこのサイズで3.5ユーロでした。こちらも驚きの安さです。
昼食後ホテルに戻ると、名物のプールに水が入れられているところでした。到着した当初は空だったので、さすがにもうプールの時期ではないのだと思っていましたが、まだまだシチリアでは夏が終わらないようです。昼は25度を超えますからね。次の2R は棋譜だけ載せておきます。
Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Valguarnera, G (ITA, 2036)
6° Open Internazionale "I Dioscuri" - Memoraila Filippo Vetro (2)
1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nbd7 7. Nc3 e5 8. e4 c6 9. h3 Qc7 10. Be3 Re8 11. Qc2 d5?
12. exd5 exd4 13. Nxd4 cxd5 14. cxd5 a6 15. Rac1 Rxe3 16. fxe3 Qxg3 17. Qf2 Qxf2+ 18. Kxf2 Ne5 19. Rfd1 Bd7 20. b3 Rc8 21. Nce2 Re8 22. Rc7 g5 23. Ng3 g4 24. h4 Bf8 25. Rxb7 Bc8 26. Rc7 Nfd7 27. Ndf5 Nc5 28. d6 Ncd3+ 29. Ke2 Be6 30. Rxd3 Nxd3 31. Kxd3 Rd8 32. Rc6 a5 33. Ke2 a4 34. bxa4 Ra8 35. Rc2 Rxa4 36. Bc6 Ra7 37. Rd2 Bxd6 38. Nxd6 Bxa2 39. Ndf5 f6 40. Nh6+ Kf8 41. Ngf5 Bc4+ 42. Ke1 Ra1+ 43. Kf2 g3+ 44. Kxg3 Bd3 45. Rxd3 Rd1 46. Be4 1-0
6° Open Internazionale "I Dioscuri" - Memoraila Filippo Vetro (2)
手数はかかりましたが、全く問題のないゲームでした。下位相手ですが、これでノビサドの最終戦から続いて4連勝です。今大会初日は、リスト1-5 の5人が連勝となっています。
しかし、次はちょっと厳しい相手です。ここからは上位勢の潰しあい、私は1B に飛んでラトビア代表、GM Miezis と試合をしてきます。ここで簡単に破れてはシチリアまで来た甲斐はありません。なんとかポイントを取り、2日目が終わっても上位に食いついていられるようにしたいですね。
2 件のコメント:
お疲れ様です。 今回の大会に参加している Irina Sudakova いわく チェスで生活するのは大変 とのことなので 本場のピザ屋(以下略)
http://interviews.chessdom.com/irina-sudakova
ありがとうございます。いつもながら、皆さんよくこういった記事を見つけてきますね(笑)
Almira さんも、チェスよりポーカーのほうが稼げるとコメントしていましたね。なかなかどの国でも、チェスプレーヤーは苦労しているようです。
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