2013/11/10

Sicilian Paradise 3rd and 4th rounds


この日は午後から、会場が別の部屋に変更になりました。

シチリア、アグリジェント2日目です。前日の公開通り、トップシードのGM Miezis と1番ボードでの対戦となりました。IQP ポジションが大好物のラトビア代表に、カロカンで真っ向勝負です。

Miezis, N (GM, LAT, 2565) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
6° Open Internazionale "I Dioscuri" - Memoraila Filippo Vetro (3)

1. c4 c6 2. e4 d5 3. cxd5 cxd5 4. exd5 Nf6 5. Qa4+ Nbd7 6. Nc3 g6 7. Nf3 Bg7 8. Be2 O-O 9. O-O Nb6 10. Qh4 Nbxd5 11. d4 b6 12. Bg5 Bb7 13. Rac1 Rc8 14. Rfe1 Qd6 15. Ne5 Rfe8 16. h3 Nxc3 17. bxc3 Ne4!



若干変わったラインでしたが、この駒の捌き方は悪くないでしょう。黒は満足な形でいくつかのピースを消していきます。

18. Bf3 Nxg5 19. Bxb7 Rc7 20. Ba6 Ne6 21. Nc4 Qf4 22. Qg4 Qxg4 23. hxg4 Nf4


ナイトはe6 からd5 へ。c3 の弱点を狙える位置に切り替えます。

24. Ne3 Rd8 25. Bb5 Nd5 26. Nxd5 Rxd5 27. Ba4 e6



ナイトも消えて異色ビショップになった時点でドローオファーします。Dobrov 戦と違い、これは早すぎることはないと考えていましたが、Miezis の答えはノーです。客観的に考えれば、ダブルポーンとc3 の弱点を抱える白のほうが若干指しづらいはずですが、それでも逆転できる(もしくは最悪でもドローに持ち込める) と考えるのがこのレベルのGM なのでしょうか。

28. Bb3 Rd8 29. Red1 b5 30. Kf1 Rdc8 31. Rd3 Bf8 32. d5!


ここは、なるほどと思った一手。f7 へのカウンターを作ることで、c3 のポーンを落としても問題ないようにします。

32... exd5 33. Rxd5 a6 34. Rcd1 Be7 35. Re1 Kf8 36. Re4 Bf6 37. Rd6 Rc6 38. Rxc6 Rxc6 39. c4 bxc4 40. Bxc4 a5



白は気になっていたポーンを消し、悪くはなくなりました。しかし、互いに丁寧に指せば、やはりドローになるはずです。

41. Bb3 Rc7 42. g3 Bc3 43. Re3 Bb4 44. Re5 Rc5 45. Re4 f5 46. gxf5 Rxf5 47. Re6 Bc5 48. f4 g5


次にビショップを動かす手が見え、これは失敗したかと思いましたが、実はそうでもありません。

49. Bc2 Rd5 50. Ke2 gxf4 51. gxf4 Bb4 52. Kf3 Rd2 53. Bb3 Kg7 54. Ra6 Rd7 55. Kg4 Bd2 56. f5 Bc3 57. Kf3 Re7 58. Rc6 Bf6 59. Rc8 Rd7 60. Be6 Rb7 61. Rg8+ Kh6 62. Ke4 Rg7 63. Ra8 Bc3 64. Kd3 Rc7 65. Bc4 Bb4?



これは痛いミスでした。黒が優先すべきことはfポーンをブロックしておくことで、そのためにはaポーンは見捨てるべきです。キングが上がることによるカウンタープレーを過小評価していました。65... Bf6! 66. Rxa5 Kg5 67. a4 h5 68. Rb5 h4 69. Be6 h3 70. Rb1 Rc3+ 71. Ke4 Kg4=

66. f6 Rc6 67. f7 Rf6 68. Ke4 Kg5 69. a3!?


f8 のマスを抑えていなければならない黒は、ビショップを諦めざるをえません。

69... Rf4+ 70. Ke5 Rf5+ 71. Ke4 Rf4+ 72. Kd3 Rf3+ 73. Ke2 Rxa3 74. Rb8 Be7 75. f8=Q Bxf8 76. Rxf8 h5



さぁやってきました。半年ぶりのビショップ+ルーク vs ルークです。このマテリアルには、あまり良い思い出がありません。

77. Bd3 Ra1 78. Kf3 Ra3 79. Rf5+ Kg6 80. Rd5+ Kf6 81. Kf4 Ra1 82. Rxh5 a4 83. Rh6+ Ke7 84. Ke5 Re1+ 85. Be4 Kd7 86. Rh7+ Kc8 87. Ra7 a3 88. Rxa3 Kc7 89. Rb3 Rc1 90. Rb2 Kd7 91. Rh2 Kc7 92. Rh7+ Kb6 93. Rb7+ Ka5 94. Rb2 Rd1 95. Bd5 Ka4 96. Rb8 Ka3 97. Bc4 Rd2 98. Ke4 Ka4 99. Bd3 Rh2 100. Kd4 Rh4+ 101. Kc3 Rh5 102. Rc8 Ka5 103. Rc6 Ka4 104. Ra6+ Ra5 105. Rh6 Rc5+ 106. Bc4 Rg5 107. Rf6 Rg3+ 108. Kd4 Rg4+?


このチェックが敗着で、108... Rg7! 109. Kc5 Rc7+ 110. Kd5 Kb4= ならば、ドローチャンスがあったでしょう。

109. Kc5 Ka3 110. Rf2 Rg5+ 111. Bd5 1-0



やはり時間のない中、GM 相手にルークで守りきるのは簡単ではありません。4時間40分指し続け、力尽きました。途中のポジションがどうあれ、やはりミスは出るものですね。


今大会のプライズです。Miezis は過去にトロフィーをゲットして、ラトビアまで持って帰るのが大変だったという話をしていました。確かにサイズによっては、帰りの飛行機でどうするんでしょうか...

お昼は再び駆け足でピザを食べに行き、次の試合の準備もできぬまま(そもそもペアリングの公開が5分前なのですがw)、会場へ戻ります。相手はロシアのWGM Sudakova, I と発表され、2番ボードで連続マスターとの試合を迎えます。

Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Sudakova, I (WGM, RUS, 2362)
6° Open Internazionale "I Dioscuri" - Memoraila Filippo Vetro (4)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 e6 4. Qc2 dxc4 5. Qxc4 b5 6. Qc2 Bb7 7. Bg5 Nf6 8. Nbd2 Nbd7 9. e3 a6 10. a4 Qb6 11. Be2 c5 12. axb5 axb5 13. Rxa8+ Bxa8 14. O-O



オープニングはほとんど知らなかった割に、十分白にアドバンテージがある形になりました。黒は一般的にc6-c5 を突ければ満足ですが、ここではキングサイドのピースの展開の遅れが気になります。

14... Be7 15. dxc5 Bxc5 16. Bxf6!? gxf6 17. b4!?


この手はおそらくベストではないだろうなと思いつつ、指してみたら面白そうだという誘惑に負けました。17. Nb3 もありえる一手です。

17... Bxb4 18. Bxb5 Ke7 19. Bxd7 Bxd2 20. Nxd2 Qb7 21. Nf3??



21. Ne4 でドローにしてはつまらないと思い、なんとか勝ちにいくアイディアをひねり出せないかと時間をかけて指した一手がこれでした。自分のミスに気づき、相手が次の手を指すまでのわずかな時間、動揺を悟られないように努めます。代わりに21. Qc5+! Kxd7 22. f3 Qc7 (22... Rc8? 23. Ne4!+-) 23. Qd4+ ならば、白はわずかなアドバンテージをキープできていそうです。

21... Qxd7?


21... Qxf3! 22. Qc5+ (22. gxf3 Rg8+ and Mate!) 22... Kxd7-+ 2300台後半が2人揃ってピースただ取りを見落とすとは、チェスとはなんとも不可思議なゲームです。

22. Rd1?


ほっとしたせいか、続くこの手が緩手でした。22. Nd4!+/= ならば、ポーンストラクチャーの乱れた黒の隙を突くチャンスはまだまだあるでしょう。

22... Qc8 23. Qd2 Bxf3!



本譜のgファイルからルークが回ってディフェンスするアイディアを見落としていたため、このビショップナイトの交換をあまり真剣に考えていませんでした。

24. Qd6+ Ke8 25. gxf3 Rg8+ 26. Kh1 Rg5 27. Rb1 Rd5!


オンリームーブでc8 のマスを守り、黒は中央に縛られたキングを守り切りました。

28. Rb8 Rxd6 29. Rxc8+ Rd8 30. Rc7 Rd7 1/2-1/2



レイティングプラスのためには倒しておきたい相手でしたが、中盤でベストのプランを見つけるが難しかったです。ここまで2勝1敗1ドローで、レイティングはトントンといったところ。3日目の2試合でレイティングと賞金がどうなるかが決まります。

R1 11/08 10:30 Varriele, L (ITA, 1927) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 0-1
R2 11/08 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Valguarnera, G (ITA, 2036) 1-0
R3 11/09 09:30 Miezis, N (GM, LAT, 2565) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 1-0
R4 11/09 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Sudakova, I (WGM, RUS, 2362) 1/2-1/2
R5 11/10 09:00 Guccione, C (ITA. 1786) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
R6 11/10 14:30


ピザ屋のお兄さんたち。ノリの良さがさすがにイタリア人といった感じです。


今日のにゃんこ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れさまです。 Sudakova さんとお話しして サンクトペテルブルグの鬼のような大会について教えてもらうのも良いかもしれません・・ 今後の試合はくれぐれも油断禁物でお願いします・・ ▽o・~・o▽

Shinya_Kojima さんのコメント...

Sudakova さんとはFacebook 友達になったので、今後ロシアの大会に足を伸ばすことがあれば、事前に情報を聞いておきたいですね~。

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