2014/12/18

Chess in Kecskemet 2014 December GM 2nd round


ケチケメートに戻り、2日目を迎えます。この日は酒井くんが毎日2試合、計20試合をこなすスケジュールを承諾し、朝の9時半からゲームを開始しています。前日ドローになった相手に、怪しげながらも勝利。2R にして、ハンガリーでの初勝利を収めています。


奮闘している酒井くんを置いて、私は朝ごはんへ。前夜のトルティーヤ同様、このパラチンタを食べるとケチケメートに戻ってきた実感が強くなります。屋台で午前中だけおばちゃんが焼いてくれるパラチンタは、2つで100円程度のお手軽朝ご飯です。

私の2日目の相手は、アメリカのSantarius です。ゲームを調べたところ、非常に多くのオープニングを使いこなし、ハンガリーのGM トーナメントでも実績を残している強豪だと分かりました。初手も、1. e4, 1. d4 両方使えるようだったので、指されて困りそうなオープニングだけチェックし、ゲームに臨むことにします。

Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 a6 5. Nf3 e6



オリンピアードの最終戦、悔しい負けを喫したSemi-Slav Accelerated Meran を再び投入します。今回は研究通り、2012年のGelfand - Anand と同じ流れになります。

6. Qc2 c5 7. cxd5 exd5 8. Be2 Be6 9. O-O Nc6 10. Rd1 cxd4 11. Nxd4 Nxd4 12. Rxd4 Bc5 13. Rd1 Qe7


ここは13... Rc8 でもイコールですが、あくまでAnand と同じラインにこだわることにします。

14. Bf3 O-O 15. Nxd5 Nxd5 16. Bxd5 Bxd5 17. Rxd5 Rac8 18. Bd2 Bxe3 19. Bc3 Bb6 20. Qf5 Rfd8?!



20. Qf5 をほぼノータイムで指してくるあたり、相手も研究済みのようでしたが、先に実戦例を外したのは私でした。d7 にルークを入られるのを嫌って本譜の手を指しましたが、実際にはイマイチでした。20... Qe6! と指すのが安全で、黒は問題なく戦うことができるでしょう。21. Qxe6? Bxf2+! があるのがポイントだと、試合後にSantarius から指摘されました。

21. Qg4?!


ここは白も長考の末、ベストの手を逃します。21. Re1! Rxc3? (21... Qc7+/=) 22. Rxd8+ Bxd8 23. Kf1!+- お互いにこの最後の手を見逃し、ルークはe1 に回れないものだと勘違いしていました。

21... f6 22. Rxd8+ Rxd8 23. Re1 Qf7 24. a3 Re8 25. Rxe8+ Qxe8 26. h4 Qc6



黒は2つのルークを交換してしまい、満足なポジションに持ち込むことができました。しかし、このゲームはここからが長かったです。

27. h5 h6 28. Qe2 Kf7 29. Qd3 Kg8


私はb6 にビショップ、c6 にクイーンを置く形が最も良いと信じ、ひたすら待つことを決心しました。e8,d8,c8 のバックランク3マスに加え、e6,d5,c4 も抑えていて、ほとんどチェックされる心配がないことが、この2ピースの配置のポイントです。

30. Bd2 Kh8 31. g4 Kg8 32. Bf4 Kh8 33. Bd2 Kg8 34. Kf1 Kh8 35. Bc3 Kg8 36. f3 Qc5 37. Ke2 Qc6 38. Qf5 Qc4+ 39. Qd3 Qc6 40. Kd1 Qa4+ 41. Kc1 Qc6



白は、キングがとことことクイーンサイドまで移動してきましたが、大きなポジションの改善になっているようには思えません。

42. Kb1 Kf8 43. Qf5 Kg8 44. f4!? Be3!


白はf2-f4 から、g4-g5 で勝負を仕掛けようと画策しますが、19手目以降、沈黙を守っていたビショップがいよいよ動き出します! こうしてf4 のポーンをアタックし、g4-g5 を止めておけば、白はブレイクができません。逆に次のQc6-Qc4 によって、f4 のポーンが落ちて困ってしまいます。

45. Bb4 Qc1+ 46. Ka2 Qc4+ 47. b3 Qe2+



これで最低でもドローが保証された私は、残り時間を使って優勢になるアイディアを探しますが、結局は見つからずじまいでした。47... Qxf4 48. Qc8+ Kh7 49. Qc2+ (49. Qf5+!? Qxf5 50. gxf5 Kg8 51. Kb2 Kf7 52. Kc3 Bf4 53. Kc4 Bc7 54. Kd5=) 49... f5 50. gxf5 Kg8 (50... Qf2 51. Qxf2 Bxf2 52. Kb2 Kg8 53. Kc2 Bd4 54. Kd3 Bb2 55. Ke4 Kf7=) 51. Qc8+ Kh7 52. Qc2= 勝負を続けようとしても、今度は白からパペチュアルチェックでドローとなります。

48. Kb1 Qd1+ 49. Ka2 Qe2+ 50. Kb1 Qf1+ 51. Ka2 1/2-1/2


この試合は指したラインから言っても、ドローで満足でしょう。問題は今日からの2日間、白で続くGM 戦です。初対戦のVarga と、3戦目となるIlincic を相手に、1.5P が取れれば上出来と言えます。2人のベテランGM 相手に、どういったゲームができるか、楽しみにしています。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473)
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432)
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+1 Kojima
0 Varga, Fominyh, Ilincic, Santarius
-1 Betaneli

スケジュールには多少の変更があり、20日が1日2試合となり、終了が1日早まりました。黒番で1日2試合を指さなければいけない20日は、なかなか厳しい戦いになりそうですね。酒井くんは逆に26日の午前中まで試合をし、午後にブダペストで合流する予定です。


この日の夕飯は、Fang の母親とGM Fominyh が作り、私たちにもご馳走してくれました。Fominyh が作ってくれたのは、本場のボルシチです! こうして中国、マレーシア、ロシア、日本のプレーヤーと家族が、ハンガリーの田舎町で交流するというのは、なかなか珍しいことですね。明日はマレーシアのDing の母親が夕飯を作ってくれるそうで、ケチケメート滞在中、これからもお世話になりそうです。


夕飯後はクリスマスマーケットへ。マレーシアの16歳、Ding, Tze How Dilwen は、First Saturday FM クラスで優勝し、レイティングを170稼いでいます。今大会でもFM クラスで連勝スタートを切っており、これから酒井くんの前に強敵として立ちはだかることになります。

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