2014/12/30

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 3rd round


ここ数日のケチケメートは、凍えるような寒さになっています。気温は17度で暖かいと記事に書いたのは、つい9日ほど前のはずですが、現在は昼間から氷点下と大変冷え込み、外に出る気力を無くしています。そんなわけで、写真がありません(笑)

3日目の相手は、2年前のCAISSA で対戦した、ハンガリーのGM Groszpeter です。あの時、彼との試合をドローで乗り切っていれば、2つ目のIM ノームはさほど苦労しなかったでしょう。再戦を望んでいたGM とのリベンジマッチです。

Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (3)

1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. Nf3 Nf6 4. e5 Ne4 5. d4 Qa5!?



Caro-Kann Two Knights Variation は、ハンガリーで脈々と受け継がれるCaro-Kann 対策の1つであり、ハンガリー国内の1. e4 プレーヤーと、Caro-Kann プレーヤーが、火花を散らして対戦と研究を重ねてきた歴史があります。Groszpeter は、2年前こそAdvanced Variation でしたが、この日はTwo Knights Variation が来ると予想していました。細かいセオリー勝負よりも、実力勝負にしたいのであれば、ベストのチョイスでしょう。

私はかつては最もオーソドックスな、3... Bg4 を指していましたが、現在はそれをやめ、3... Nf6 を指しています。この日は、5... Nxc3 6. bxc3 e6 と指して、黒マスビショップを失っていないFrench Winawer の形にすることも考えましたが、よりCaro-Kann らしい、本譜の変化を指してみることにしました。これもハンガリーのマスターたちによる研究です。

6. Bd2 Nxd2 7. Qxd2 Bf5 8. Bd3 Bxd3 9. Qxd3 e6


黒マスビショップを失った白は、ピースの展開の早さとスペースをいかす勝負に出ますが、Caro-Kann 特有の堅いポーンストラクチャーは、それらを十分なアドバンテージにさせません。

10. O-O Be7 11. Ne2 Nd7 12. c3 O-O 13. Nf4 c5



展開で劣る黒は、丁寧に準備をしながら、ついにc6-c5 を仕掛けます。クイーンサイドからのカウンタープレーを作りつつ、Nf4-Nh5 からのダイレクトなキングサイドアタックにも警戒しておきますが、2つのビショップをすでに消してている以上、白の攻撃は問題なく捌けるはずです。

14. Rfe1 Rac8 15. g3 Qb6


この手は少し意外だったと、Groszpeter からコメントを貰っています。15... b5!? から、b5-b4 を見せ、そのうえでクイーンを退く選択肢もありえたでしょう。

16. Re2 cxd4 17. Nxd4 Qc7!?



実を言えば、d4 をナイトで取り返す手を多少見くびっていました。こうなると、黒はb7-b5 とすぐに仕掛けられないですし、cファイルをすぐには活用できません。17. cxd4 Nb8! と指して、ナイトを組み直すはずだった予定を修正する必要があります。そこで私が考えたのは、e5 を狙いつつ、クイーンを交換してしまうプランです。

18. Rae1 Qc4 19. Qf3 Qxa2


なるほどと思いながらも、ここは予定通りにポーンを取るしかありません。白のアタックは気合でしのぎ切るつもりです。

20. Qg4 Qa6?


この手を指したのは、当然e6 を守り、ナイトのサクリファイスを避けるためですが、20... Nb6! と指していれば、本譜のd5 取りも、e6 を取った際にナイトがターゲットになることも避けています。それでも白には、キングサイドに集めたピースで、ポーンの代償のある面白いポジションでしょう。

21. Nxd5!



この手をGropszpeter は、非常に慎重に読んでから指してきました。私も彼がd5 とe6 のどちらを取るのか、必死で読んでいましたが、確実にアドバンテージを白が得られるのは、こちらで正解です。

21. Nfxe6!? fxe6 22. Nxe6 Rf7 23. Ng5!? Rff8! (23... Rc4 24. f4 Qb6+ 25. Kg2 Bxg5 (25... Nf8? 26. Nxf7 Kxf7 27. e6+ Kg8 28. Qf5 Qd6 29. Re5+/- 検討ではこの変化がメインで出ましたが、私はこれを黒で持ちたくはありません。) 26. e6 Rf8 27. e7 Bxe7 28. Rxe7 Qxb2+ 29. R1e2 Qxc3 30. Qxd7+/=) 24. Ne6 Rf7 25. Ng5= シンプルにルークが退けば、白にはアドバンテージがなく、同じポジションを繰り返すしかありません。

21... Rfe8 22. Nf4?!


私は、21... Bd8 と本譜で迷っていましたが、この手を指されるのであれば、本譜のルークを回す手で正解だったと確信でき、一安心です。私が恐れていたのは、22. Nxe7+ Rxe7 23. f4+/= と指す手で、次のf4-f5 はシンプルですが、黒からうまいディフェンスがなく、白が攻勢を保てるでしょう。他には、22. Rd2! と指す手も良く、白は開いたdファイルにヘビーピースを重ね、手を作りにいくことができます。

22... Bf8 23. h4 b5 24. Nf3 Qb7 25. Ng5 1/2-1/2



最後はGroszpeter からオファーをされ、それを受けてゲームを終わらせました。キングサイドのアタックさえ捌けば、b5-b4 からチャンスを作れそうですが、持ち時間が少なく、あまり自信がありませんでした。それでも私としては、あまり持ったことのないタイプのポジションだったので、実際に時間をたくさん使って考えることができ、良い勉強になっています。

12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434)
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/01 16:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)

+1 Payen
0 Groszpeter, Fominyh, Ilincic, Kojima
-1 Eggleston

この日は、Eggleston がFominyh を破って初白星。GM にも負けが付いています。明日は前トーナメントで、白で勝ち、黒で負けたIlincic ですので、気合いを入れて、ポイントを取ってこようと思います!


夕飯はDing のお母さんに作ってもらい、2階の自室で食べました。前回のトーナメント中もそうでしたが、日本のプレーヤーにも、ご飯を分けてあげようとするマレーシアのDing 母と、それを快く思わない中国のFang 母の間で争いがあり、今夜は隔離されての食事でした。まるで家族に内緒で、こっそり飼われているペットのよう...

0 件のコメント:

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.