2014/12/09

FS 2014 December GM 3rd round


12月のFS 3R は、今大会のレイティングトッププレーヤー、GM Medvegy との対戦です。先月にはドイツのGM Meier, G にも黒で勝っている強豪ですが、私も白を持ったからには、前日のような内容の悪い負けは許されません。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527)
First Saturday Dec 2014 GM (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 g6!?



4... c5 を入れずにダブルフィアンケットを組むのは、完全に予想外でした。あまり経験のない形ですが、とにかく考えすぎずに指すしかありません。

5. O-O Bg7 6. Nc3 O-O 7. Re1 c5 8. e4 Nc6 9. d3!?


試合後、Medvegy からは、9. e5 Ne8 10. d4 Nxd4 11. Nxd4 Bxg2 12. Kxg2 cxd4 13. Qxd4 d6 がセオリーだと教えられました。これならば、白はわずかに優勢でしょう。 本譜ならば、黒はd4 のアウトポストを使って満足なプレーができます。

9... d6 10. a3 Ne8 11. Rb1 Nc7 12. Nd5 e6!



手数をかけて組み直したナイトを消しにいくのは、白としてロジカルなプランだと思いましたが、Medvegy はe6-e5 と突き直した際に、c3 にナイトが無ければ問題ないと指摘します。

13. Bg5 f6 14. Nxc7 Qxc7 15. Be3 e5 16. Qd2 Qd7 17. b4 Nd4 18. Nxd4


私はさらに2ピースを交換してポジションをシンプルにすることを選びましたが、18. Nh4!? などと指す手もありそうです。

18... cxd4 19. Bh6 Bxh6 20. Qxh6 f5 21. Bh3!



f5 を白から取ると、Rf8-Rf5-Rh5 と2つのルークをfファイルに重ねるプランが白にとって危険です。そこで、h3-c8 のピンを利用して、テンションをキープします。

21... Rae8 22. Rb2


ここは22. f4! と突くべきでした。私はe5 にプレッシャーをかける手はさほど強力ではないと考えましたが、もう1つのポーン突き、c4-c5 と併せれば有効な狙いとなります。

22... Qd8 23. f3 f4 24. g4?!



この手は白マスビショップの働きが悪くなるため、ロジカルでないことは分かっていましたが、fファイルを突破されるのはどうしても危険だと思い、キングサイドを閉じることにします。白マスビショップはここから、b3 への大移動を目指します。

24... Bc8 25. Bf1 Bd7 26. Rc1 Qe7 27. Be2 Rc8 28. Bd1 b5 29. Bb3 Be6 30. Rbc2 Kh8?!


ここは30... Qf7 と指していれば、黒はイニシアチヴをキープできたでしょう。私は次のシンプルな手を見落とし、ゲームは私にとって苦しい状態で続くことになります。

31. Ba2



悪手ではないですが、白にとってより明快なのは、31. c5! と突く手です。31. Ba2 を指した直後に見えて、がっくり。Medvegy も試合中、この手は成立しないと読んでいたそうです。以下、31... Bxb3 32. cxd6 Rxc2 33. dxe7 Rxc1+ 34. Kg2


Analysis Diagram

34... Rg8 35. Qf8 Rc8 36. Qf6+ Rg7 37. Qf8+ (37. Qc6!? Rgg8 38. Qxb5 Rge8 39. Qxe5+ Kg8 40. b5=) 37... Rg8 38. Qf6+= と進めば、ドローは明らかです。黒はこの変化を蹴って、勝負にいくのはリスクが高いでしょう。

31... Qf7 32. Qh4 Rc6 33. Qf2 Rfc8 34. Qe2 Kg7 35. a4?



ここは白にとって、さらに耐えなければいけない展開でした。黒はc4 へのプレッシャーで間違いなく指しやすいですが、決定的なスレットを作っているわけではありません。

35... bxa4 36. b5 Rc5 37. Qd2 a6! 38. b6 Rb8 39. Rb1 Qb7 40. Qb4 Bd7


ここで互いに30分の持ち時間を増やしますが、私の思った以上にbファイルのパスポーンは武器にならず、むしろそれを守っていないといけない状態が負担で、ツークツワンクに近い形になります。

41. Rcb2 a5 42. Qa3 Bc6 43. Kh1 Qd7 44. Rg1 Qd8 45. Rgb1 Rb7 46. Kg2 Bd7



この時点で将来的なキングサイドの突破から、白が敗れることは分かっていました。しかし、すでにリザインのタイミングを逃していますので、どのように確実な決め手を作るのか、勉強させてもらうために続けることにします。

47. Kh1 h6 48. Kg1 Be8 49. Kh1 Kh7 50. Kg1 Qh4 51. Rf1 Qd8 52. Rfb1 h5 53. gxh5 Qg5+ 54. Kh1 Qxh5 55. Rf1 Qh3 56. Kg1 g5 57. Bb1 Bc6 58. Bc2 g4 59. Bd1


いよいよ黒はgファイルを食い破ります。59. Bxa4 gxf3 60. Rff2 Rg7+ 61. Kh1 Rg2 62. Rxg2 fxg2+ 63. Rxg2 Bxe4!-+ でも黒勝ちです。

59... g3 60. hxg3 fxg3 61. Bxa4 Kh8 62. Bxc6 Rh7 0-1



35手目までポーン交換の起こらなかったクローズドゲームですが、こうしたキングサイド突破のメイティングアタックで決着がつきました。連敗は苦しいものですが、前日のFlumbort 戦と違い、読みをサボることなく、感覚だけで指さなかったので、内容はさほど悪くなかったと思います。しかし、結果ももちろん出さなくてはいけないので、今日の試合から、また頑張ってきます!

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386)
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

ここまでは、ハンガリーのIM Torma, R が驚異的な強さを見せて3連勝。逆にオーストリアのジュニア、FM Dragnev, V は3連敗と苦しんでいます。私の次の相手である、アイスランドのIM Arngrimsson, D は、このGM Section の常連メンバーですが、やはり2敗1ドローと今大会は不調スタート。お互いに浮上のきっかけを掴みたい大事なラウンドを、幸運なことに白を引けたので、ここが前半戦の山場だと思い、勝負に臨んできます。


アンダンテと試合会場であるホテルメドスの中間にあるこの建物は、長かった改築がようやく昨年終わった、リスト音楽院です。2年半前に私がブダペストに来てから、ここに留学している多くの音大生と知り合い、現在も交流を持つことになるとは、2012年の頭には欠片も想像しなかったことです。

5 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

お疲れさまです▼o・~・o▼ 今夜のTBS系地上派の番組の見出しの一部に「羽生善治が尊敬!頭脳ゲーム最強の怪人」なる見出しがあったのでカスパロフ戦の話かと思いきやFischerの話のようです・・・▼o・~・o▼

ピカチュウ さんのコメント...

派と波間違えた▽o・~・o▽ 60 ...fxg3 が抜けてるみたいですよ

Shinya_Kojima さんのコメント...

ありがとうございます~。直しておきました。

ピカチュウ さんのコメント...

ナイトの重要性を紹介するページ?▼o・~・o▼ 汗

https://twitter.com/nishio1979/status/542282658114314241

Shinya_Kojima さんのコメント...

ナイトの働きよりもむしろ、ルークはオープンファイルを活用できなければ、うまく働けないピースだということが分かりますね。

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