この日は朝起きて部屋を出ると、10人のプレーヤーがすでに試合を始めていて、少し焦りました(笑) この年末年始のトーナメントも、GM, IM, FM の各クラスで試合が行われており、会場は様々な国籍のプレーヤー、そしてそれを見守る家族で賑わっています。特にIM クラスは7人のプレーヤーによる、14R ダブルラウンドロビンです! 私が言うのもなんですが、こんな年の瀬まで試合をするとは、皆さん、本当にチェスが好きですね!
前日にFominyh に負けた私は、再び白を持って第2戦、イングランドのIM Eggleston との試合に臨みます。これから自分も2400台になる以上、同じレベルのプレーヤーに、白で連敗は許されません。
Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (2)
1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 e6 5. O-O Be7 6. d4 O-O 7. d5!?
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (2)
このシャープな1ポーンサクリファイスラインは、7. Re1 の変化と並び、Quenn's Indian 対策として興味があり、かつて研究したことがありました。今回の遠征では、7. Re1 を使うつもりでしたが、前夜に気が変わり、徹底的にこの変化を調べ直して、実戦投入です。
7... exd5 8. Nh4 c6 9. cxd5 Nxd5 10. Nf5
黒が1ポーンをキープするために、ビショップの働きを悪くする(ビショップと同じ色にポーンを置く) 間に、白はナイトを5段目まで進めます。g7 を狙いつつ、d6 への跳びこみを見せるこのナイトは、7. d5!? サクリファイスのラインのキーピースとなります。
10... Nc7 11. e4 d5 12. Nc3 Nba6!?
さぁ困りました!(笑) 12... Bf6 はかなり調べたつもりでしたが、こちらには対策が浅かったです。それでも、d5 にプレッシャーをかけ続けるアイディアと、白の基本的なピースのセットアップは同じはずです。どこかでQd1-Qg4、もしくはQd1-Qh5 といったダイレクトなキングサイドアタックを実行するかは、迷うところでしょう。
13. Re1 Bf6 14. exd5 cxd5 15. Bf4
ラッキーなことに、これで12... Bf6 のラインに戻りました。白は素早いピースの展開と、d5 へのプレッシャーで、十分にポーンの代償があるポジションですし、d5 を取り返してもアドバンテージのある形です。
15... Bc8 16. Nd6 Be6 17. Nxd5 Bxd5 18. Bxd5 Nxd5 19. Qxd5 Bxb2 20. Rad1 Qd7?
ここで私の準備を外れますが、すぐにこの手が悪手であることに気が付きました。20... Nc5 (b2 のポーンが消えたことで、c5 はナイトにとって、非常に安定したマスとなります。) 21. Re8!? (フィンランドのGM Nyback のアイディアですが、ドローにしかなりません。) 21... Rxe8 22. Qxf7+ Kh8 23. Qd5 Qd7 24. Nf7+ Kg8 25. Nh6+= これでドローになるということは、意外なことにEggleston も知っていたようで、試合後に確認しました。彼としては、勝負にいくつもりの20... Qd7 だったのでしょうが、これがすでに致命的なミスとなります。
21. Bg5!
シンプルですが、白に十分なアドバンテージをもたらす1手です。白はe7 にビショップを入れても、ルークを入れても勝てる形で、黒には満足なディファンスがありません。皮肉なことに、ルークをつなげようとクイーンを上げたことで、白のBf4-Bg5 に対して、Bb2-Bf6 が指せなくなっています。
21... Nc7
21... Bf6 22. Bxf6 gxf6 23. Qh5!+- ならば、白は次にNd6-Nf5 で、黒キング決定的な攻撃を仕掛けることができます。
22. Qb3! Ne6 23. Nf5!
慎重に読んだ末、これでゲームオーバーだと結論付けます。ナイトをe6 まで回して、eファイルをふさぎつつ、g5 のビショップをアタックするのが黒のディフェンスのアイディアでしたが、白はナイトをf5 に退けば、b2 のビショップを取った後、g7 へのメイトスレットを作ることができます!
23... Bd4 24. Be3!
これでピースを取った白は、後は黒の反撃(とも呼べない無駄なあがきですが...) を捌いて、勝利を収めます。
24... Ng5 25. Nxd4 Nh3+ 26. Kg2 Qg4 27. Qd5 Rad8 28. Qf3 Qc8 29. Nf5 Rxd1 30. Rxd1 1-0
初戦、白で敗れたときはどうなることかと、さらに言ってしまえば、IM タイトルが確定したことで、気が抜けてしまったのかと不安になりましたが、この勝利でその思いを払拭できました! イングランドのIM Eggleston はまごうことなき実力者ですが、そんな彼が連敗スタートになるので、やはりGM クラスは一切の油断ができません。
12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434)
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/01 16:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)
+1 Fominyh, Payen
0 Groszpeter, Ilincic, Kojima
-2 Eggleston
さぁ、今日は2年ぶり、Groszpeter とのリベンジマッチです。Ilincic とGroszpeter が揃うと、Sax のことを思い出してしんみりしてしまいそうですが、そのこととは別に、試合は試合です。最近はSicilian を指しますが、かつてはCaro-Kann のスペシャリストだったGroszpeter に、Caro-Kann で挑んできます!
勝利を収めて元気のはずですが、それはそれ、これはこれということで、ティラミスをいただきます。Wi-Fi を繋ぎに来ているこのイタリアンレストランも、この日は接続が不安定でした。ここもダメになった場合、私はどこでブログを書けば良いのでしょうか(笑)
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