さて、昨日からは白を持ち、GM との連戦が始まります。Zoltan Varga は、普段ブダペストで試合をすることの多いGM ですが、今回はケチケメートまで出張してきました。長年ハンガリーのGM トーナメントで戦い続けるベテランに挑みます。
Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (3)
1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 dxc4 4. e3 Be6!?
Chess in Kesckemet 2014 December GM (3)
Varga は、このSlav の珍しいラインのスペシャリストです。試合前に他のラインも含め、多少準備していたのは助かりました。
5. Nc3 b5 6. a4 b4 7. Ne4 Bd5!?
7... Nf6 と指すのがメインで、こちらは記憶にありませんでした。ここからしっかりと考え始めます。
8. Ned2 c3 9. bxc3 bxc3 10. Nb1 Qa5 11. Qc2 Nf6 12. Qxc3 Qxc3+ 13. Nxc3 e6 14. Nxd5 exd5?
Varga は試合後に、14... cxd5 が最初のアイディアだったが、なぜか心変わりしてしまったとコメントをくれました。黒の最大の弱点であるc6 のポーンを解消しない本譜は、確かに奇妙な手です。c6-c5 と黒はポーンを進めても、今度はd5 が弱点となります。
15. Bd3 Bd6 16. Ke2 Nbd7 17. Bd2 Ke7 18. Rhc1
かなり悩みましたが、私はこうしてシンプルにc6 にプレッシャーをかけることにしました。
18... c5 19. dxc5 Bxc5?!
19... Nxc5 20. Nd4 Nxd3 21. Kxd3 Kd7 と進んでも、まだd4 のアウトポストのコントロールで白が良いでしょう。しかし、せめて白マスビショップは取り返しておくべきだったかもしれません。
20. Bc3! Ne4 21. Bxg7! Rhg8 22. Be5!
この1手が見え、g7 を取れることを確信しました。黒はルークでポーンを取り返せば、そのルークが白陣でトラップされます。
22... Rxg2 23. Bg3! Bd6 24. Bxe4?
試合後に、24. Kf1! Bxg3 25. Kxg2 ならば、リザインするつもりだったと言われ、愕然とします。確かにこうしていれば、白は余計なポーンを失うことなく、純粋にエクスチェンジアップでした。このシンプルな手がなぜ見えなかったのかは、この試合で一番不可解な点です。
24... dxe4 25. Nh4 Bxg3 26. Nxg2
白としては、すぐにエクスチェンジを取るのではなく、26. hxg3 Rh2 27. Rc4 Nf6 28. Rb1 と指すのもありでしょう。h2 のルークはゲームに参加できず、黒は苦しい状況が続きます。もちろん、f2 への攻撃には気をつけなければいけませんが、そこまで他のピースを到達させるのには手数がかかります。
26... Bxh2 27. Rab1 Bd6
24. Kf1 を見落とし、1ポーンを取られてしまったとはいえ、それでも白はエクスチェンジアップで勝勢です。しかし、私の実力不足で、局面をおかしくしてしまいます。
28. Rb7 Ke8 29. a5?!
このポーンは、なるべく黒陣深くに刺して武器とすべきだと考えていましたが、逆に負担になってしまうものでした。29. Nh4! Nc5 30. Rb4!+- と指していれば、白はすぐにナイトを攻撃に参加させることができます。
29... Nc5 30. Rb5 Rc8
私はこのルークが回る1手を過小評価していました。黒は一時的に自らピンを作りますが、白にはそれを利用するうまい方法はありません。
31. Nh4 Kd7 32. Nf5 Bf8 33. Rb4 Re8!
ピンを外して、ルークをアクティブ使うアイディアです。このルークはここから、縦横に広い利きを持ち、黒のディファンスの要となります。
34. Nd4 Re5 35. a6?! Bd6!
こうしてビショップもプレーに戻ってきた黒は、だんだん苦しいポジションを改善しています。私は残り時間がほとんどなく、どうすれば勝てるのか、その方法をすっかり見失ってしまいました。
36. Rb5 h5! 37. Ra1 h4 38. Rh1 Rh5 39. Nb3 Kc6 40. Nd4+ Kd7
ナイトの往復によって40手目に到達し、30分の追加持ち時間を得ましたが、h4 までポーンを進め、それをルークでサポートできた黒は、すでに立ち直っています。
41. Rh3 Be7 42. Nb3 Kc6 43. Nd4+ Kd7 44. Nb3 Kc6 45. Nd4+ 1/2-1/2
完全に勝ちのポジションをドローにしてしまったのは残念ですが、Varga 相手にこうした内容で指せたということは、自信にもなりました。彼のディフェンスのテクニックも、勉強させてもらうことができましたしね。気持ちは次のIlincic 戦に切り替え、今度こそ白星を狙っていきたいと思います。
12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432)
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)
+1 Fominyh, Kojima, Santarius
0 Varga
-1 Ilincic
-2 Betaneli
この日はGM の一角、Ilincic がアメリカのSantarius に敗れました。また、Fominyh もBetaneli に勝って、3人が+1 となっています。誰がここから抜け出して1歩リードするか、注目の中盤戦がこれから始まります。
この日の夕飯は、会場近くのイタリアンレストランに酒井くんと向かいました。去年の2月、ブダペストから応援に来てくれた友人たちとも訪れた、懐かしの店です。
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